2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒッグス粒子発見後の素粒子物理学の新展開~LHCによる真空と時空構造の解明~
International Activities Supporting Group
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
16K21730
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅井 祥仁 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60282505)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 素粒子論 / 加速器 |
Outline of Annual Research Achievements |
LHCのエネルギーはH28年度に倍増され、約170b-1近いデータが蓄積された。これらの成果を、今後の領域活動に生かすべく、国際研究支援班はH31年度は2つの活動の柱を中心に研究を行った。1つ目は、若手の研究者が国外の研究機関に長期滞在し共同研究を進めることで、本領域の研究を深め、研究を発展させた。H31年度は、京都大学の隅田氏がイタリアに長期滞在し、次世代の高速エレクトロニクス開発を進め、次世代素粒子実験での実用化を目指す研究を行った。 2つ目は、領域総括班と共同で国際研究会を開催し、本領域の研究成果を広く国外に発信すると共に、領域外の関係研究者との意見交換を行うことにより、領域の研究を広げた。H31年度は、11月に「Dark Matter Searches in 2020s」、2月に「KEK PH2020」という2つの大規模な国際会議を開催した。特に、Dark Matter Searchesは、本領域のLHCでの成果と、地下での直接実験、宇宙線観測による間接実験の3極を結ぶ試みであり、領域の成果を発信し、新しい知見を取り入れ、活発な議論が行われた。 2つ目と並んで研究成果を海外との共同研究に広げるために、各計画研究と共同で、ミニ国際会議を多数開催してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H30年度までに、合わせて170fb-1近いデータを収集し、これらのデータを用いた解析を進め、この成果を発表し、1)機械学習を用いて、ボトムクォークとヒッグス粒子の結合の強さを世界で初めて観測し、力を伝える素粒子ばかりでなく、物質を形作る素粒子の質量の起源も、同じヒッグス粒子であることを示した。2)ヒッグス粒子を詳細に調べることで、我々の真空が、一番安定な状態ではなく、少しエネルギーが高く不安定であることが判明した。(ある日、宇宙全体が相転移してこの宇宙が変わってしまう可能性は、極めて低いが、安定ではない) このことは、標準理論は不完全なものであり、何かよりエネルギーの低い真空に対応する新現象があることが発見されたことになり、重要な成果である。 2月から、新型コロナウィルス感染症のために、研究者が往来しにくくなっている。これに伴い、数件の研究会、招聘、長期滞在がキャンセルになっている。H31年度は、研究自体のは大きな影響はでていないが、実施自体には影響が出始めている、
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Strategy for Future Research Activity |
今後も3つの柱を中心に研究の国際活動支援を行う。1つ目の若手研究者の海外研究機関への長期滞在は、R2年度は数名を予定し、領域関係者や関係研究に公募の呼びかけを行い、候補者の中から総括班会議で選ぶ。全データを用いた研究が進むので、国際共同研究が盛んになることが期待されている。また海外の研究者を招聘し、長期滞在して共同研究を行う活動も予定している。 国際会議の開催を通して、領域の成果を国内外に発信する。R2年度は本領域主催の大型国際会議の開催予定を予定し、中規模・小規模のworkshopを開催して、研究を進めていくが、新型コロナウィルス感染症のために、一部の大型国際会議を、翌年度に変更したり、ZOOMなどのオンラインを使う方法を検討している。
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Causes of Carryover |
国際研究支援班は、基金化されて運用を行っている。2月から、新型コロナウィルス感染症に対する欧州での懸念より、アジア地区との欧米の研究者の往復が減ってしまい、招聘、長期滞在の計画に変更が生じ、次年度に使用することとした。新型コロナウィルス感染症が収束した後、当該年度の成果で得られた新しい素粒子現象の可能性を探る研究を進めていく。またR2年度は最終年度にあたるため、研究成果を取りまとめる研究も進め、多くの海外研究支援を進めていく。 使用計画:3つの研究支援の柱がある。新型コロナ感染症の状況で、変更などを行う可能性がある。 1、若手研究者の海外研究機関への長期滞在は、R2年度は数名を予定し、旅費が必要となる 2、海外の研究者を招聘し、長期滞在して共同研究を行う活動も、R2年度には数名を予定し、旅費が必要となる。 3、R2年度は、成果を取りまとめる大規模な国際会議の開催を予定している。また中規模・小規模な国際ミニワークショップを計画研究・公募研究と共同で開催することを計画している。旅費及び会議費が必要となる。
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