2017 Fiscal Year Research-status Report
関係性を中心とした融合型人文社会科学のための国際学術ネットワークの確立と活性化
International Activities Supporting Group
Project Area | Establishing a new paradigm of social/human sciences based on rerational studies: in order to overcome contemporary global crisis |
Project/Area Number |
16K21736
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
酒井 啓子 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40401442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 泰行 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20328678)
落合 雄彦 龍谷大学, 法学部, 教授 (30296305)
久保 慶一 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30366976)
石戸 光 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40400808)
五十嵐 誠一 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 准教授 (60350451)
末近 浩太 立命館大学, 国際関係学部, 教授 (70434701)
山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80598706)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 国際関係 / グローバルイシュー |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル関係学では、毎年グローバル関係学の中心的なテーマを取り上げ、国内外の研究者を集めて、海外の第一線の研究機関と共同で大規模な国際会議を国外で開催することを、研究事業の中心軸に置いている。そのため、2017年以来シンガポール国立大学中東研究所との間で一年以上密な研究交流、意見交換を重ねてきた結果、2018年1月5-6日、シンガポール国立大学中東研究所との共催で、同大学中東研究所Conference Roomにて国際会議The Global Refugee Crisis:Mobile People under State Protection or Exploitation?を開催することができた。会議には開催機関のみならず70人以上が参加し、熱のこもった議論が続けられ、会議は高い評価を受けた。 同国際会議では、日本側とシンガポール大学側が選んだ、移民難民研究の最前線にある研究者30人を結集し、7つの研究パネルを設定したが、最初のパネルでグローバル関係学の意義と目的、その理論的枠組みなどを提示、議論した。酒井の他、松永、久保が、7月23日に総括班主催の全体研究会にて国内で報告した各々のグローバル関係学試論をもとに、英語にて報告を行い、Ho Eng Sengシンガポール大学中東研究所長のコメントを受けて、フロアで関係性に注目する意義についての討議を広く行った。 残る6つのパネルでは、シリア難民、その他の難民問題(ロヒンギャ、アジアでのパレスチナ難民、イタリアへのアフリカ難民)、利用される移民/難民(アフガニスタン、日本での介護ワーカーなど)、湾岸産油国でのアジア移民、反移民/難民感情、移民/難民に対する法的保護、をテーマに各3報告を2日間にわたり実施した。 会議内容は中東研究所のHPで動画が掲載され、広く国際的に発信された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1月5-6日にシンガポールで開催した国際会議には、新領域から14名(酒井、松永、石戸、末近(以上計画研究代表者)、久保、錦田、森、松尾、中山、山尾(以上分担者)、小川、福田、佐々木、Aligholikhamseh(以上協力者))が報告・司会を務めた他、新領域からの招聘でCarla Hung(デューク大)Emel Akcali(スウァンシー大)、Francesca Albanese(ジョージタウン大)、石井正子(早稲田大)、Chon Yong Hwan(明治学院大)、Jamie Liew(オタワ大)、Alistair Boulton(UNHCR)が報告した。シンガポール側からは、中東研究所研究員の他、Laurence Vandenborre(在シンガポール難民支援NGO)、Lavaanya Kathiravelu(ナンヤン工科大)、Theophilus Kwek(オクスフォード大)が報告を行った。 二日間とも、70名定員の会場に一時期立ち見がでるほど参加者が多く、海外の研究者や実務家の間からも高く評価された。特にバングラデシュの新聞で会議の模様が取り上げられるなど、多様な関心が寄せられたことは、インターディシプリナリーで多様な事例を包括的に扱うという、グローバル関係学が目標とする国際会議の成功事例として位置づけられよう。 また国際会議開催前には、H29年度初めから活動していた移民難民に関する計画研究横断プロジェクトのチームで事前準備を含めた研究打ち合わせを重ね、特に12月には国内でリハーサルを実施して報告の質を高めるなど、国際発信に向けた努力を行った。 一方で、H30年度以降の国際会議の打診、候補地探しについて、久保が候補地としてのセルビアを、落合がアフリカ諸国などを訪問して視察した。その結果、セルビアでの開催を決定することができ、今後への準備は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き海外の研究機関と協力して国際会議を海外で実施するが、H30年度はセルビア社会科学研究院とともに紛争をテーマに12月にベオグラードにて実施することが決定している。そこでは、8パネルを構成、うち2パネルを計画研究A02, B02の成果報告パネルとし、残り6パネルに領域関連の研究者とセルビアなど東欧諸国出身の研究者に加えて、同問題に関する専門家を世界各地から招聘する。 また、H30年度後半以降分担者の石戸がタイ・マヒドン大学に赴任予定のため、今後の国際会議開催をタイで実施することも視野に入れて、今後の発信方法を模索する。加えて、H29年度に協力相手校として交渉を行ったロンドン大学SOAS中東研究所などとも、引き続き研究交流を進めていく他、H30年度開催予定の世界中東学会(WOCMES)、世界政治学会(IPSA)、世界社会科学フォーラム(WSSF)でのパネル報告を通じて、海外の研究者にグローバル関係学を発信するよう尽力する。 H29年度には千葉大学グローバル関係融合研究センターがメコン機構(バンコク)、ムスタンシリア大学(イラク)と交流協定を結ぶなど、海外の研究機関との協力体制の確立を進めてきたため、今後もこれを拡充させる。 H29年度に実施したシンガポールでの国際会議での報告については、今後活字化し論文として国内外のジャーナルなどへの投稿を促す。
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Causes of Carryover |
シンガポールで開催の国際会議において、シンガポール大学に一括して支払う金額は予定通りであったが、会議に招聘する日本以外、シンガポール以外の研究者として、欧米からの招聘者を想定していたところ、招聘相手の多くがアジア地域で活動中であり近距離の移動となった(オタワ大学(カナダ)のJamie Liew氏がマレーシアから参加したこと、ジョージタウン大(米)のF.Albanese氏がインドネシアから参加したこと)こと、また当方から事務スタッフを派遣する予定が妊娠のため参加できなくなったことなどから、旅費が安価で済んだ。 この金額はH30年度に繰り越し、セルビアでの国際会議の運営費に充てることとする。
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Remarks |
上記(2)のアドレスは、シンガポール国立大学中東研究所(NUS-MEI)ウェブサイトに掲載の国際会議動画のアドレスである
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