2017 Fiscal Year Annual Research Report
複合アニオン化合物の創製と新機能に関する研究の総括
Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
16H06438
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陰山 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40302640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 克郎 九州大学, 工学研究院, 教授 (90397034)
荻野 拓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70359545)
前田 和彦 東京工業大学, 理学院, 准教授 (40549234)
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
長谷川 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (10189532)
山本 隆文 京都大学, 工学研究科, 助教 (80650639)
八島 正知 東京工業大学, 理学院, 教授 (00239740)
田部 勢津久 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (20222119)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 複合アニオン / 新物質 / 機能開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
領域代表のリーダーシップと、外部評価委員と学術調査官のアドバイスのもと、総括班のメンバー全員が力を集結して、機能的にかつダイナミックな運営ができていると考えている。H28年度の報告書に記載したとおり、我々の新学術は異分野研究者の集合体であるため、遠慮がみられたが、総括班の働きかけの結果、キックオフ後の半年で遠慮がなくなり、有機的な、積極的な連携がみられるようになった。二年目のH29年度は、新たな連携を遂行できる公募研究メンバーが18名くわわった結果、その連携が加速度的に強まっている。H29年5月の公募キックオフ会議、8月、翌年1月の領域会議、若手スクール、トピカル会議などの会議や、班内班間留学などを通じ、学生を含む、若手が主体的に活動する雰囲気が生まれており、実際に学生が立案した新しい研究テーマが論文化に至るなどの目に見える成果として現れている。ホームページは、H29年度から本格的に運用を始めている、研究成果だけでなく、アウトリーチ活動を、特にH29年度の中盤以降は頻繁に紹介している。また、人材データベース、研究データベースも本格的に運用した。総括班内の海外活動支援班との連携のもと、海外との研究者との相互交流、海外大型施設の利用、国際会議の開催も順調に進んでいる。また、総括班主導で、日本セミラックス協会誌に複合アニオンの特集号を企画し、掲載されたほか、領域代表の陰山と計画研究代表の前田、林の三名が中心となった執筆したレビュー論文がH30年2月にNature Communications誌に掲載され、ともに大きな反響を集めるとともに、領域全体に(現状の)コンセプトを与えたという意味で、今後、全体が一つの大きな目標にむかって進む土台になったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
総括班は多岐にわたる領域の活動の運営に主導的な役割を果たし、新しい研究(融合研究)の推進、若手人材の育成を行うとともに、国内および国際シンポジウムの開催や共催などの活動により、複合アニオン化合物が国内外で大きくスポットライトを浴びるようになった。また、領域代表の意向で全員がアウトリーチ活動を精力的に行っている。総括班で購入した共通設備の管理運用により多くのメンバーにより有効活用されている。計画した内容を着実に実践しつつも、柔軟に方針を変えるなど積極的な活動を展開している。それには、世界初の複合アニオン化合物の総合レビュー論文(Nat. Commun.2018)を領域代表と計画研究代表が中心となり執筆した。また、当初計画にはなかった理論家による若手の実験家への理論指導、J-PARCの長期課題の申請採択も特筆すべきことである。共同研究の数は加速度的に増えており、今後は一層増える見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通りに進める予定である。複合アニオン化合物は、学術的新規性だけでなく、将来の産業応用にも重要である。よって、同物質を舞台としてグローバルに活躍できる若手の育成は最重要課題である。総括組織の運営においては、国際活動支援班の活動を有効に活かし、シナジー効果を出す。例えば、国内派遣の海外若手研究者と班間・班内留学の日本人若手との交流や新たな共同研究の創出、レクチャーを受講した海外若手の国内招聘である。すでに、計画研究―計画研究、計画研究―公募研究、公募研究―公募研究の共同研究は活発に進行しているが、一層の共同研究の推進をするとともに、非常に重要とおもわれるプロジェクトについては、総括班で適宜アドバイスをするなどして進めていく予定である。また、領域外の研究者も適宜、共同研究者として加え、さらなる連携の活性化を図る予定である。研究成果の発信は、ホームページ、プレスリリースによる発信のほか、各種メディアの活用、さらには科学館との連携、高大接続を強化するなどアウトリーチ活動をより充実させていく予定である。大学院生はすでに研究の中心として活躍しているが、この流れをさらに加速できるよう、将来性のある学生がリーダーシップを発揮できるような機会を与える。また、企業からの関心と期待が益々高まっているため、企業からアドバイスを得られるよう配慮する。また、海外共同研究者は、海外活動支援班に記載があるようにハブ拠点研究者を中心に連携は着実に拡がっているので、これを継続、拡充するとともに、その一人で構造化学の世界の第一人者であるPaul Attfield教授(英国エジンバラ大学)には新たに評価者に加わっていただく。特許に関しても、すでに総括班のアドバイスがきっかけで出願にいたったケースはあるが、今後も継続しておこなう。
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