2016 Fiscal Year Annual Research Report
ヒッグス粒子発見後の素粒子物理学の新展開~LHCによる真空と時空構造の解明~
Project Area | New expansion of particle physics of post-Higgs era by LHC revealing the vacuum and space-time structure |
Project/Area Number |
16H06488
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅井 祥仁 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60282505)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | LHC / 超対称性粒子 / ヒッグス粒子 / 暗黒物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒッグス粒子の発見により、「素粒子」自体の研究から、素粒子を使って「時空や真空」を探る新しい段階へ進みつつある。本領域は、衝突エネルギーを倍増させたLHC加速器を用いて、これまで二つの大きな成果をあげた。(1)ヒッグス粒子と他の素粒子との結合の強さを測定した。力を伝えるゲージ粒子との結合は、2012年の発見の段階で測定されていたが、28,29年度のエネルギーを倍増した実験から、物質を形成するフェルミオンとの結合も測定された(物質の質量の起源もヒッグス粒子であることが分かった)。同時に、第3世代と第1,2世代を分けているのがヒッグス粒子との結合の強さであることがわかり、真空が素粒子の世代を作っていることが分かった。(2)時空構造の解明のため超対称性探索を続け、グルオンの超対称性パートナーに対して、2TeV 以上の厳しい下限が得られ、同時に暗黒物質に関して、ヒッグス粒子又はZ粒子の超対称性パートナーであることへ可能性を絞り込んだ。 更に次世代2026年からの実験に向けて、R&Dを進め、計画・技術を確定した。A1班の新しい超伝導磁石開発は、世界最高レベルの大口径での磁石の試作を成功させ、2026からの実験で分離用磁石として採用された。B,C班が行っている、次世代の高耐放射線半導体検出器開発、高速ミューオントリガー識別開発は、TDRにまとめ出版された。この提案に従って、2026年の準備が行われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2026年からの次世代実験の設計・試作テストが、当初の計画以上に進展し、TDRとしてまとめられ、国際的なreviewを受けた。高い評価が得られ、この案に沿って、2026年からの実験が行われる予定である。これらの将来計画をどのように進めていくかを議論するために、平成30年6月に、日本で国際会議 ATLASコラボレーション会議を開く。本領域は、この会議の主催者である。
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Strategy for Future Research Activity |
本領域の研究成果を、宇宙などの他の領域と共有し領域を広げることを目指して、平成29年1月に国際会議を開催し、kickoffを行った。その成果を確認する目的で、平成30年11月に、本領域が共催となる国際会議を日本で開催する。そこでヒッグス粒子の性質が宇宙初期にどのような役割を果たしたかを議論する。また、R&Dした新技術を 2026年の実験ばかりでなく、他の研究へ活かすよう、他の実験との共同研究を進めていく予定である。
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