2020 Fiscal Year Annual Research Report
Co-creative Language Evolution: Coordination Section
Project Area | Studies of Language Evolution for Co-creative Human Communication |
Project/Area Number |
17H06378
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡ノ谷 一夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30211121)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | コロナ禍 / 遠隔会議 / 共創言語セミナー / 領域会議 / 領域合同会議 / 意図共有 / 階層性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、コロナ禍により対面コミュニケーションが大きく制限された。その制約のもとで、領域として可能な活動を模索し着実な成果をあげることができた。 遠隔会議システムを利用して、国内外の研究者に協力を依頼し「共創言語進化セミナー」を領域内外に公開して開催した。毎回100-200人の参加者を得、活発な議論が行われた。セミナー後のオンライン懇親会でも議論が継続され、新たな共同研究の萌芽も見られた。 令和2年8月にはブリュッセル大学のルック・スティール教授による「言語進化の構成的アプローチ」、9月には東北大学の佐野勝宏教授による「道具にみる階層構造の発達と言語」10月にはカリフォルニア大学のテレンス・ディーコン教授による「文法創発の記号論的基盤と記号の脱接地過程」および東京電機大学の小林春美教授による「人はなぜ言語と重複するジェスチャーをするのか」、11月にはバルセロナ大学のセドリック・ブックス教授による「現生人類の言語の起源の構成的視点」および京都大学の森田堯氏による「認知科学的言語学習モデリングと動物音声分析のための教師なし機械学習」、12月には情報通信研究機構の中井智也氏による「複合的言語情報に関する脳内表現の定量的モデル化」、令和3年2月には名古屋大学の米納弘渡氏による「言語と言語能力の共進化に対する構成論的アプローチ」およびガジュマルつがる代表の松本敏治氏による「自閉症は津軽弁を話さない」、3月にはケルン大学の伊藤啓教授による「ショウジョウバエを用いた全脳神経回路コネクトーム解析」と、合計10回のセミナーを行った。 令和2年8月には共創言語進化と思春期主体価値の合同若手研究会、9月には第6回領域全体会議および共創言語進化若手の会主催研究会、令和3年2月に第7回、3月に第8回領域全体会議、日本学術会議共催シンポジウム「動物たちの意図共有」と、非常に多彩な活動を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、コロナ禍によって制約された対面コミュニケーションを逆手にとり、オンラインによる極めて充実した知的交流を可能とした。国内外の著名研究者・若手研究者を招いた昵懇な議論により、領域関係者にとって非常に豊かな知的環境を作りだすことができたと言える。一方で、オンラインによるコミュニケーションと対面によるコミュニケーションの差異・それぞれの利点と欠点・それぞれをどう生かしてゆくのかに関する議論も、領域会議を中心に十分進めることができた。これを契機として、総括班の中に3つの特設班を作り班や公募・計画を超えた独自な活動を開始した。これらは、意図共有と階層性の融合についての理論的研究班、非対面コミュニケーション班、コミュニケーションの未来班である。知的交流と生産的活動が可能であったことから、当初計画以上に進展が見られたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、領域としての最終年度となる。引き続きコロナ禍の状況がどうなるのか、予想はつきにくいが、令和2年度に試行錯誤しながら作り上げてきた非対面下での知的交流の方法をさらに進め、領域の成果を総括し、さらに次の展開を考えてゆく。非常に成功を収めている共創言語セミナーシリーズを継続し、開かれた議論の場を持つとともに、領域内での活動を相互批判しながら「何ができ、何ができなかったか」を反省する機会を持ちたい。さらに、令和3年度ないし4年度(コロナ状次第である)に開催する予定の国際会議について、開催場所、開催内容、招聘研究者等について議論を進めてゆく必要がある。
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Remarks |
総括班は研究を実施するのではなく、領域の運営が本務である。このため、発表業績につながることは少ない。
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Research Products
(4 results)