2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Microwave-Excited, High-Temperature Thermally Non-Equilibrium Reaction Fields |
Project/Area Number |
18070006
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
佐藤 元泰 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (60115855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 信之 名古屋工業大学, 特任教授 (60013538)
萩行 正憲 大阪大学, レーザーエネルギー研究センター, 教授 (10144429)
三宅 正司 大阪大学, 名誉教授 (40029286)
大峰 巌 分子科学研究所, 所長 (60146719)
辻 正治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (30038608)
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Keywords | 低エネルギーフォトン / エネルギー経路 / 非平衡加熱 / 非アレニウス藩王 / 活性化エネルギーの付与 / 高次構造破壊 / 反応速度 |
Research Abstract |
文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「マイクロ波高温非平衡加熱」の研究を総括してきた。本研究の成果は、マイクロ波というコヒーレントな電磁気的な仕事が、熱力学の第2法則に従って、物質のエネルギー状態を変化させる現象を理論的・実験的に検証したことにある。 マイクロ波は位相が揃った単色性の電磁波で周波数が熱的フォトンに比べて3桁以上低い。その電場・磁場が物質の電子およびイオンに集団(コレクティブな)運動をあたえ、この運動は熱力学的仕事として物質の構造に作用する。即ち、このコレクティブな運動は、物質の状態をAからBに変える構造転移、あるいは、物質A+B→物質C+Dにという化学反応に必要な活性化自由エネルギーとして作用する。従来の熱力学的平衡状態において、活性化自由エネルギーが全て熱によって賄われるプロセスとの本質的な差異を見いだしたのである。 最初の必要条件である物質中の電子/イオンに作用する過程を分子動力学シミュレーションによって明らかにし、次に活性化エネルギーの熱による供給と、熱以外の供給を分離する実験的な手法を開発し、マイクロ波プロセスは有意な割合で活性化エネルギーを仕事によって賄っている熱力学的に非平衡過程であることを明らかにした。長い間、謎とされてきたマイクロ波による低温焼結、過飽和固溶体や結晶のナノ化現象など、不可逆的な物性、選択的化学反応の促進などの現象を、統一的に説明でき学理的な基礎を確立した。本領域は、高温を必要としない物材加工の過程があり得ることの学理的解明と製鉄の大規模化を目指す実験など環境とエネルギー消費に原理的な変革をもたらす理学と工学の一体的発展を目指してきた。得られた成果は、人類文明の誕生以来、営々として使われてきた熱平衡下の物材加工という概念に根源的変革をもたらすものであり、環境負荷を低減した物材の加工・処理の基礎を築いたものである。この学術成果の産業応用により、火炎を使わない製鉄、化学など低炭素社会に向けた新しいパラダイムの構築が進んでゆく。
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Research Products
(7 results)