2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧中性子実験で拓く地球の物質科学の総括と研究支援
Project Area | Earth Science Based on the High Pressure and Temperature Neutron Experiments |
Project/Area Number |
20103001
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
八木 健彦 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特命教授 (20126189)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内海 渉 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (60193918)
服部 高典 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10327687)
井上 徹 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (00291500)
|
Keywords | 中性子 / 高圧 / 地球深部 / 水 / 水素 |
Research Abstract |
本年度は当初の建設計画に沿って、昨年度までに建設したPLANETビームラインに6軸型超高圧高温発生装置を据え付けて、それを実際に稼働させるためのさまざまな周辺装置を建設・整備し、高温高圧下の中性子回折実験を行う準備を進めた。主なものとしては、大型油圧プレスを動かすための油圧制御系、高温実験用の加熱電源及びその配線系統、試料位置測定のための顕微鏡系、大型プレスで使用する1段目および2段目の超高圧発生用アンビル、およびそのガイド、中性子カメラを取り付けその位置を調整するための架台、および小型プレスやP-E型プレスを使用する場合の架台、などである。 ほとんどの物品は本研究で建設した特殊な6軸型超高圧高温発生装置「圧姫」向けの特殊仕様で、実際に取り付けたり組み合わせてみると予想しなかった問題が生じ、修正を余儀なくされることもあったが、それらの問題を克服して、年度末にはほぼ予定通りの段階まで建設を進めることができた。一部の物品が設計や製作が間に合わなくなり繰り越しての支出になったが、最終的にはすべて予定通り建設が進行した。 それらの建設と合わせて、建設状況や各班で行っている予備実験に関する情報交換などのため、何回か関係者の集会も行われた。またそれらと平行して、国際会議も含め、種々の学会、研究会などにおいて、高温高圧中性子実験ビームライン建設の現状報告や宣伝活動も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響で我々の新しいビームライン建設を進めているJ-PARC自身が大きな被害を被ったほか、建設に関連したさまざまな物品が入手困難になるなどの影響で、震災後は研究開始当初の建設予定より大幅な遅れが生じたが、各メンバーの必死の努力により多くの問題は解決され、現時点ではほぼ順調に進展していると言える。ただ復旧はして中性子ビームは供給されているものの、その強度は当初計画よりはまだずっと弱く、最終的にどの程度の実験データが得られるようになるかは、まだ予断を許さない。
|
Strategy for Future Research Activity |
PLANETビームラインで高温高圧中性子実験を行うのに必要とされる段階までの9割近以上が完成し、来年度前半には実際に中性子ビームを使っての試運転を行って、秋には最初の高圧中性子実験まで漕ぎつける予定である。秋からのマシンタイムは新学術領域研究の各班に配分し、それぞれがねらいとしている実験に対し必要とされる種々の機器の動作や性能のチェックを行う。その結果を反映させて必要な手を加え、1-3月期のマシンタイムで、それぞれの班で当初予定した実験を実施することにしている。またそれらの結果をまとめて各種学会、研究会などで発表し、地球科学だけでなく広く物質科学や物理、化学分野の研究者にも新しい高温高圧中性子実験装置が使えるようになったことを宣伝する予定である。
|
Research Products
(8 results)