2012 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of New hadrons with a Variety of Flavors
Project Area | Quest on new hadrons with variety of flavors |
Project/Area Number |
21105001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯嶋 徹 名古屋大学, 現象解析研究センター, 教授 (80270396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野海 博之 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (10222192)
保坂 淳 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (10259872)
四日市 悟 独立行政法人理化学研究所, 延與放射線研究室, 研究員 (20360670)
宮林 謙吉 奈良女子大学, 自然科学系, 准教授 (40273833)
堺井 義秀 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (90170571)
森松 治 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (60210184)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 素粒子論 / 実験核物理 / 理論核物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「新ハドロン」の総括班としての計画研究であり、領域内で行われる計画研究間や公募研究との相互作用を促進し有機的な連携を積極的に推し進めている。平成24年度においては、次の活動を行った。■クロスオーバー研究会(平成24年7月、名古屋大):格子QCDの専門家が多く参画する「素核宇宙融合」領域との共催研究会を開催し、ハドロン現象論、格子QCD、さらに弦理論的アプローチによるハドロン物理研究の理解を深めることができた。■若手スクール(平成24年8月、KEK):昨年度に引き続き、大学院生を中心に約50名が参加。講義と3つのテーマ(クォーク模型とハドロン・スペクトロスコピー、高エネルギー・ハドロン物理、格子QCD理論)に関する実践演習を行った。■領域研究会(平成25年3月、KEK):各計画研究や公募研究の現状報告、領域外の研究者も参加し、現象論、Lattice 計算、弦理論の様々なアプローチからハドロン物理に関する議論を行った。■総括班会議(平成25年3月)。■領域主催セミナー「ハドロンスクエア」(平成24年7月大阪、11月奈良、平成25年3月理研)■Bファクトリー解析に関する定例ミーティングの推進:Bファクトリー解析に関する情報交換、若手教育の場として、2週間に1回のTV会議を継続的に行った。さらに、H24年11月には、ハドロン物理推進のための国際協力を推進する観点から、ソウル国立大学のステファン・オルセン教授他と協力して、韓国釜山において、"International Workshop on using Heavy Flavors to Probe New Hadron Spectroscopies/Dynamics"を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
素粒子と原子核分野の融合による研究活動が積極的に進み、J-PARCのE16実験、LEPS2実験、スーパーBファクトリー実験などの将来に向けた準備も進んだ。特に、H24年度においては、LEPS2ビームラインの初ビームが得られ、J-PARCにおいても、E16実験のマイルストーンとして、高運動量ビームラインの建設が決定した。領域の活動が契機となり、 スーパーBファクトリーに向けて開発されてきたTOP検出器をLEPS2実験に応用する研究が具体的に動き出し、LEPSビームラインでのビームテストも行なわれた。 物理成果としては、LEPS実験からペンタクォークに関する新しい結果を発表した。ペンタクォークの存在に決着を見るには至らなかったが、終状態粒子の検出によってより明瞭な結果を得る手がかりが得られ、更なるデータ取得が進んでいる。Bファクトリーでは、本領域の科研費研究員(名大・沈成平)が中心となったデータ解析により、電荷を持つエキゾチック粒子Z(3895)+が発見され、テトラクォーク状態の候補として大きな注目を集めている。 研究の進展に伴い、国際的な協力や情報発信も重要となっている。H24年度には、中国や韓国の関連研究者が一堂に会し、国際研究会を開催した。さらに、H25年度にHadron2013国際会議を奈良で主催することが決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度が本領域の最終年度となるので、領域の成果を集大成するとともに、今後の新たな展開についての検討を総括班主導で進めてゆきたい。本領域では、BファクトリーやLEPS実験における新種のハドロン粒子の発見を契機として、素粒子・原子核両分野の研究者結集して研究を進めてきた。本領域によって、これまで独立に研究を進めてきた両分野の研究者が本格的に協力して研究を進める体制が整ったと自負している。 最終年度にあたっては、Bファクトリー実験のデータ解析やLEPS実験の推進するとともに、次々と発見された新種のハドロン粒子に関するデータを総括して、その全体像を明らかにしデータの統一的な理解を目指す。H25年11月に奈良で開催する国際会議はその作業のために有用な場であり、有効な議論と結果集約が行われるよう、総括班主導で運営を進める。この会議での議論をもとにレビュー論文などの執筆も進めたい。 また、本領域の取り組みとして、核物理研究者によるBelleデータの解析(Belle-NPCの活動)を積極的に支援し、検出器開発の面でもTOPカウンターに関する共同研究を進めてきた。こうした物理解析や検出器開発の成果を論文としてまとめてゆくことも重要である。 今後の研究展開に関する検討も重要である。ハドロン物理と、宇宙物理、宇宙論、宇宙初期のクォーク・グルーオン・プラズマに関する研究との関連性を検討することは、学問領域としての更なる発展につながる。こうした、新たな展開を探るための研究会も積極的に組織したい。
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Research Products
(5 results)