2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism for dimensional response genome
Project Area | Elucidation of the mechanism for dimensional response genome across species regulated by nucleic acid structures |
Project/Area Number |
21H05107
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
建石 寿枝 甲南大学, 先端生命工学研究所, 准教授 (20593495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今西 未来 京都大学, 化学研究所, 准教授 (80362391)
遠藤 玉樹 甲南大学, 先端生命工学研究所, 准教授 (90550236)
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Project Period (FY) |
2021-08-23 – 2024-03-31
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Keywords | 多元応答ゲノム機構 / 核酸非二重らせん構造 / 遺伝子発現 / 細胞内環境 / 多元応答ゲノムバンク(DiR-GB) |
Outline of Annual Research Achievements |
総括班は、領域の運営(研究計画、領域会議やシンポジウムの開催、広報活動)ならびに領域研究全体の研究連携の支援を担当する。2021年度は、領域研究代表者を統括班の代表とし、甲南大学内に多元応答ゲノム領域推進センター(領域事務局を兼務)を設立し、領域の運営ならびに研究連携を推進した。 まず、領域メンバーの研究打ち合わせでは、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限のため、オンライン会議を活用し、定期的に研究の進捗を報告し、連携が滞りなく推進されているか確認した。本年度は、多元応答ゲノム機構の解明を目指し、遺伝子発現に関わる核酸構造やタンパク質について、定量的に解析した。その結果、核酸非二重らせん構造(i-モチーフおよびG四重らせん)形成におよぼす、溶液環境の効果( RSC Adv., 11, 37205 (2021))、G四重らせん構造とメチル化酵素の相互作用(Nucleic Acids Res. 50, 449 (2022))を明らかにした。さらに、核酸構造変化に応答した遺伝子発現機構として、G四重らせん構造の形態が複製におよぼす影響(J. Am. Chem. Soc., 143, 16458 (2021))や、翻訳反応を調節し得るシュードノット構造の形成機構 (Chem. Commun., in press (2022))を明らかにした。 また、領域発足にあたり、領域アドバイザーをお招きし、領域のコンセプトを広く周知できるようキックオフシンポジウムを開催した。シンポジウムでは、核酸非二重らせん構造の機能解析の第一人者であるPurdue University(米国)のDanzhou Yang教授とNanyang Technological University(シンガポール)のAnh Tuan Phan教授をお招きし、領域への応援メッセージとともに特別講演を行っていただいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、環境に応答して多元的に変動する核酸構造に依存した遺伝子の発現調節(多元応答)の分子機構を明らかにすることを目的としている。具体的な達成目標として以下の3点を挙げる。 [1] 生育環境の変化に伴って遺伝子の発現変動を示すゲノム領域に、非二重らせん構造を形成する核酸配列が保存されていることを示す。[2] 生育環境の変化による核酸の構造や熱安定性の変動により、遺伝子の発現が調節される機構を分子レベルで明らかにする。[3] 核酸構造の形成領域と核酸の化学修飾部位との相関を解析し、核酸に対する化学修飾が多元応答の一要因となることを示す。 次いで、各計画研究を連携させ、「多元応答」による遺伝子の発現変動が生物個体の表現型を司ることを実験的に示すことで、ゲノムの高次機能としての「多元応答ゲノム」の生理学的意義を提唱する。 2021年度は、1及び2として、遺伝子発現に関わる核酸構造やタンパク質の機能について、定量的に解析した。その成果として、3つの計画班すべてから核酸の非二重らせん構造の形成機構や遺伝子発現機構に及ぼす重要な知見を見出した(主な成果として、A01班 Chem. Commun., in press (2022)、A2班 Chem. Commun. 58, 48 (2021), RSC Adv., 11, 37205 (2021)、J. Am. Chem. Soc., 143, 16458 (2021)、A03班 Nucleic Acids Res. 50, 449 (2022)など)。また、これらの成果は領域HPで公開し、ニュースレターで詳細に解説した。さらに、キックオフシンポジウムを国際シンポジウムとして開催し、国内外の学生、博士研究員、大学教員、領域アドバイザーの先生方などに参加いただき(参加者合計4ヶ国、43名)、領域のコンセプトを広く周知することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、各計画班のさらなる研究連携に努める。具体的には、A01-02の連携として、遺伝子の発現変動を示すゲノム領域に、非二重らせん構造を形成する核酸配列が保存されていることを示すため、ヒト、シロイヌナズナや大腸菌などのゲノム中の非二重らせん構造を解析する。A02-03の連携として、ヒトや植物の実細胞中の非二重らせん構造を解析し、遺伝子の配列データと比較する。さらに、A01-03班の連携として、非二重らせん構造を認識するタンパク質の標的配列の詳細な解析や核酸―タンパク質の相互作用が遺伝子発現に及ぼす影響を解析する。また、研究を推進するにあたり、領域研究者と所属研究機関において計画したデータマネジメントプラン(DMP)に従い、適切な研究データの管理を行う。DMPは研究の進捗に応じて統括班を中心に議論し、適宜、追加・修正を行う。 これらの領域内の共同研究を円滑に推進するため、定期的な研究打ち合わせを行う。また、領域アドバイザーの先生を招聘し、領域会議を行い、研究成果を共有し、領域研究に対して、助言を頂く。さらに、本年度は、海外の研究者と共同研究を積極的に開始し、国際共同研究ネットワークの強化に努める。また、「多元応答ゲノム」を世界にアピールしていくため、国際学会での研究成果発表を行い、関連する学会においてシンポジウムなどを共催するなど、多様な方法で領域研究を紹介する機会を設ける。また、領域の研究成果は領域ホームページで迅速に公開し、ニュースレターを定期的に発刊し、関連する研究者や一般に配布する予定である。
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[Journal Article] Chemical Modulation of DNA Replication along G-Quadruplex Based on Topology-Dependent Ligand Binding2021
Author(s)
S. Takahashi, A. Kotar, H. Tateishi-Karimata, S. Bhowmik, Z.-F. Wang, T.-C. Chang, S, Sato, S. Takenaka, J. Plavec, and N. Sugimoto
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc.
Volume: 143
Pages: 16458-16469
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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