2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上田 実 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60265931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 一浩 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00168535)
渡邉 秀典 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (00202416)
品田 哲郎 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30271513)
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
叶 直樹 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40317293)
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50451935)
松永 茂樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
井本 正哉 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60213253)
半田 宏 東京医科大学, 医学部, 兼任教授 (80107432)
渡辺 肇 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80212322)
佐々木 誠 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (80235267)
木越 英夫 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 教授 (90169839)
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
石橋 正己 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212927)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 異分野融合 / 国際研究者交流(米国) / 国際研究者交流(中国) / 国際研究者交流(韓国) |
Research Abstract |
総括班の運営は、共同研究の推進を第一目標として、計画的に行った。平成25年度は、公開シンポジウム(筑波)、国際シンポジウム(横浜)を各1回開催し、各100名以上の参加者を広く産学官から集めた。シンポジウムでは、ポスター発表形式に工夫を凝らし、共同研究推進を主目的とするシンポジウムであることを参加者全員に強調した。これと平行して、「地区ミニシンポジウム」を夏・冬に複数回開催した。これは、領域研究者と少数の招待講演者から成るシンポジウムを開催することで、共同研究を開始するきっかけを提供するものであり、ひろく有機合成化学から医学にまで渡るユニークなシンポジウムが企画され、共同研究のきっかけとなった。 また、これらに付随して若手ワークショップを2回(東京、横浜)開催し、若手研究者による研究発表と交流の機会を設けた。また、大学院生による研究手法の紹介という形式の講演を行うことで異分野研究への障壁を下げる効果を狙った。融合領域研究並びに、共同研究の推進には、30歳前後までに領域融合型の発表とディスカッションを経験することが重要であると考えている。また、人材カタログとしてHPに設けた「天然物ケミカルバイオロジー次次世代」と題する企画も好評である。この中から、関連領域でのポストを得るものが誕生することを期待している。 総括班経費からは、標的同定に必要な各種依頼分析経費や依頼のための前処理に必要な消耗品などの経費支援をおこなった。これによって、アウトソーシングによる配列解析やアレイ解析などに対するバリアが下がった。 これらの事業の全てに関して、研究支援者の貢献は極めて大きく、専門的見地からの研究支援並びに事務的支援を行った。 以上のような取り組みは、100件を超える領域内共同研究ネットワークの形成、25件を超える標的同定という成果に繋がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本学術領域研究では、公開シンポジウムにおけるポスター発表や地区ミニシンポジウムの開催などのユニークなシステムによって共同研究を強く推奨している。その結果本領域では、多くの共同研究が進行中であり、その数は総計57名の研究者の間で延べ100件を超える。 共同研究の内訳を見ると、天然物リガンドの標的決定に関する共同研究が最も多く(32件)、ビーズテクノロジーの天然物リガンドへの応用や、新規に開発された標的同定法の天然物リガンドへの適用がある。この結果を見ても、適切な機会さえあれば天然物リガンドの標的同定研究を開始したいと考える研究者が極めて多いことが分かる。班員独自の生物活性評価系を用いた合成・探索天然物リガンドの活性評価(18件)や、リガンドー標的相互作用の精密解析(18件)に関する共同研究も活発であり、各構成員が本新学術領域の趣旨を良く理解し、共同研究を進めていることが見て取れる。 本新学術領域の発足によってこのような状況を作り得たことで、標的同定の方法論整備が大幅に加速された。マックスプランク研究所のWaldmannらが、過去に標的決定が報告された生物活性リガンドを総括した総説(Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 2744)によると、標的既知の小分子リガンドはわずかに150例程度しかない。この事実は、小分子リガンドの標的同定の難しさを如実に表している。一方、本領域では、領域開始後わずか2年弱で25例以上のリガンドの標的決定が実現されつつ有り、これは長足の進歩と言える。これに加えて、本領域に参画する生物学研究者との共同研究によって、天然物リガンドの生物応用への敷居が一層低くなったことも重要な点である。
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Strategy for Future Research Activity |
A01-A03班の共同研究による本学術領域の推進により、天然物リガンドの標的決定や構造単純化リガンドの開発が進むにつれて、天然物リガンドの作用機構はこれまで推定されていた「鍵と鍵穴」の関係のような単純なものでないことが分かってきた。例えば、ある種の植物ホルモンや動物ステロイドホルモンは、配糖体化によって、全く異なる生物活性と標的をもつ別種のホルモンに変換され、また、発がん促進物質として知られるアプリシアトキシンの構造を適切に簡略化すると、強力な発がん促進活性にマスクされていたがん細胞増殖抑制活性が現れてくる例もあり、天然物リガンドが生体内で「鍵束」のように機能し、複数の錠前(受容体)と相互作用することが鮮明になった。生体内において、「鍵束」から特定の「鍵」が選ばれる仕組みの解明と利用は、リガンド活性制御の新たな展開をもたらすであろう。 A01:本新学術領域では、ビーズテクノロジーの利用によって、ビタミンKや合成薬剤サリドマイドなどの副作用の原因となる受容体(オフターゲット)が次々と解明されている。これら「鍵束」の構造改変による活性制御を実現していきたい。 A02:発がん促進活性をもつアプリシアトキシンの構造単純化によって抗がん剤シードの開発を目指す研究は、「鍵束」天然物リガンドから望まない副作用を除去することで有用物質の開発が可能であることを示す好例である。アプリシアトキシン単純化アナログのがん細胞増殖抑制作用を説明できる受容体の探索に注力したい。 A03:配糖体化によってホルモンの生物活性と分子標的が一変する現象(”Glycosylation Switching”)の発見は、配糖体化・脱配糖体化酵素が、生体機能調節の重要な鍵酵素であることを示す。「鍵束」から特定の「鍵」を選ぶ新たな仕組みは、生体機能の新たな制御法開発に繋がる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Inhibition of Microtubule Assembly by A Complex of Actin and Antitumor Macrolide Aplyronine A.2013
Author(s)
M. Kita, Y. Hirayama, K. Yoneda, K. Yamagishi, T. Chinen, T. Usui, E. Sumiya, M. Uesugi, and H. Kigoshi,
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc., 135, 18089-18095 (2013).
Volume: 135
Pages: 18089-18095
DOI
Peer Reviewed
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