2012 Fiscal Year Annual Research Report
Frontier of Materials, Life and Elementary Particles Science explored by Ultra Slow Muon Microscope
Project Area | Frontier of Materials, Life and Elementary Particle Science Explored by Ultra Slow Muon Microscope |
Project/Area Number |
23108001
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
鳥養 映子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (20188832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 康博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (80209882)
門野 良典 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (10194870)
岩崎 雅彦 独立行政法人理化学研究所, 岩崎先端中間子研究室, 研究員 (60183745)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超低速ミュオン / スピン / イメージング / 有機的連携 / 情報発信 / トライアルユース / シンポジウム / 異分野交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本領域は、超低速ミュオン顕微鏡(USMM)によるイメージング法を確立し、スピン時空相関の概念により、多様な物理、化学、生命現象を統一的に理解する新しい学術領域の開拓を目指す。総括班は、(1)各計画班および公募研究の有機的な連携促進と研究支援、(2)領域の運営と研究遂行に関する一元的な窓口、 (3)共同研究、研究人材育成の組織的推進、(4)評価と助言・指導、5、成果の情報発信の機能を果たす。 【計画研究部門】レーザー連携会議、班長会議を随時開催、光科学、加速器科学、物質科学の有機的連携を強化した。従来の80倍となる世界最強パルスミュオン発生(10月)、全固体VUVレーザー装置のライマンα光発生(1月、理研)、レーザー装置のJ-PARC移設(3月)を完了、共通基盤を構成する装置開発をほぼ計画通り進めることができた。領域会議・公開シンポジウム(8月30日-9月1日、北海道大学)を開催、116名の参加を得て情報共有・関連分野への広報を行った。若手研究者主催プレスクール(8月30日)には50名近い学生・関係者の参加を得て異分野理解を深めた。A01、A04班に各2名の博士研究員を配備、共通基盤装置の開発体制と若手研究者育成を強化した。ニュースレター第2号(2012年3月発行)、領域ウェブページによる情報発信を行った。 【イノベーション創出部門】学術振興会第169委員会(構造生命科学)をはじめ、触媒化学、生命科学等これまでミュオン利用が進んでいない分野で広報活動を展開、研究協力者の輪を広げた。ミュオンを新規に利用する研究者のために、施設側ビームタイム枠で予備実験を実施した。国際連携を強化するために「超低速ミュオン顕微鏡が拓く科学国際会議(2013年8月9日~12日)」の準備を進めた。 【評価部門】領域会議に評価委員3名の参加を得て、研究計画の進捗と今後の方針について指導・助言を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超低速ミュオン顕微鏡の基幹部を構成する熱ミュオニウム発生装置、全固体高強度VUVレーザー装置、光学系の開発を一通り完了することができた。周辺装置開発では部分的に年度を持ち越した装置もあるが、これらは初期の超低速ミュオン実験には影響がなく、研究計画通り、平成25年度前半の超低速ミュオン発生に目途がついた。特に施設側に協力して実施したミュオン源のコミッショニングにより計画を上回る高強度が得られたこと、VUVレーザーのための高利得レーザー結晶として、本領域の計画時には合成困難とされた新規結晶(特許出願準備中)の産業界との共同開発に成功したことは、当初計画を上回る成果である。これまでミュオンの応用が進んでいなかった分野、特に触媒化学、生命科学分野への広報活動を進めた結果、両分野からの協力研究者を増やすことができ、実験提案等も出てきている。博士研究員4名に対して独立した研究エフォート5~15%を保障する取り組みについて、所属機関の協力を得て進めることができた。加えて若手の公募研究者、大学院生の参加等、将来領域のさらなる発展を担う若手研究者の育成が進んでいる。60名弱でスタートした領域は現在80名に拡大した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度前半に超低速ミュオン発生の目標実現に向けて、計画研究班間及び公募研究者の有機的連携をさらに強化する。これまでに開発した基幹装置はすでに設置施設(J-PARC)に搭載済なので、前半は、超低速ミュオン取り出し、コミッショニングによる増強、性能確認試験の一連のプロセスを計画に沿って進められるように全力を注ぐ。8月から1月まで予定されている加速器の休止期間中に、VUVレーザー用結晶を新規開発された高利得結晶と入れ替えることにより、ライマンα光の高強度化、すなわち超低速ミュオン強度の増強を図る。 休止期間中に、深さ方向分解能等の性能に応じて、計画研究、公募研究で提案されている研究課題についての優先順位を領域全体で議論し、ピークとなる研究成果を挙げることと、新しい分野への展開をはかることのバランスをとりながら進めていく。 「超低速ミュオンが拓く科学」国際シンポジウムを8月に開催し、ミュオン界面科学研究の世界拠点形成に向けた情報発信を行う。日本中間子科学会と協力して関連分野の会員誌、学会誌への連載を開始するほか、学会シンポジウム、物性科学領域横断研究会、J-PARC利用者懇談会等の活動を通じた関連分野への広報活動、施設と連携したサイエンスチャレンジや出前授業による次世代育成、サイエンスカフェ活動による国民への広報に努める。将来の領域発展を担う若手、ミュオン未経験者、産業界、アジア太平洋地域の研究者拡大のために計画されたトライアルユースについては、施設側でこれに相当するP型計画を発足させたため、領域は広報や実験支援などで施設側に協力して進めていく。評価部門は、年度内に計画研究班代表らから研究計画説明と進捗報告を受け、指導・助言を行い、領域代表に対し評価報告と提言を行うとともに、国際会議USM2013の国際アドバイザリー委員として組織委員会への助言を行う。
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Research Products
(37 results)