2013 Fiscal Year Annual Research Report
生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
23116001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
深水 昭吉 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60199172)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 生命素子 / hub metabolite / エネルギー代謝 / 転写環境 |
Research Abstract |
転写環境の構築は、クロマチンや転写調節因子に対して修飾基を書き込む (=Writing) 修飾酵素、修飾基を認識し結合して「読み取る (=Reading) 」アダプター分子、および、「修飾基を取り去る (=Erasing) 」脱修飾酵素に加えて、ヒストンのDNAからの一時的な解 離等の混乱を「書き換える (=Rewriting) 」機能によって動的に制御される。この制御には、代謝中間体からの修飾基供与や、修飾反応を効率的に促進する生命素子(=hub metabolites)が供給されることが必要不可欠な要素であり、細胞や生体内ではエネルギー代謝 と密接にリンクしている。そこで本領域では、1)転写環境の形成に直結する化学修飾がエネルギー代謝に働きかける作用、および、 2)エネルギー代謝の変化が転写環境の形成に及ぼす作用、というクロストークを支える分子実体とその制御メカニズムを解明することを研究の目的としている。本領域の総括班では、研究推進の検討、領域の評価と助言を行い、当該分野の国際的な学術連携と人材育成の場を提供する。本年度の総括班の活動は、以下の通りである。 1.平成24年4月から2年間の公募研究が終了した。これら公募研究班と領域研究の方針を共有し、有機的な連携体制の強化を進める事ができた。 2.平成25年度班会議と国際シンポジウム合同の「International Symposium on Transcription and Metabolism」(兵庫県)を開催し、国内外の研究者による活発な情報交換を行った。3.国内外の研究者を転写代謝セミナーに招き、今年度は22回を開催した。また、第3回若手ワークショップ(平成26年1月30~2月1日、 群馬県)を、新学術領域「転写サイクル(山口代表)」および転写研究会と共同開催した。大学院生・博士研究員・助教・講師クラスが集まり、研究発表、交流、情報交換を行った。4.公募班・計画班メンバーの活動について、ホームページを通じて積極的に社会に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、総括班会議と国際シンポジウム、転写代謝セミナー(22回)、若手ワークショップを開催し、研究領域の情報共有と、情報収集、および若手交流を行い、それらの情報をホームページで積極的に公開してきた。また、80名以上に参加していただいた市民公開講座の開催や米軍子弟教育高大連携プロジェクトにおける研究体験会を行うなど、社会貢献を果たしてきた。しかし、一つの計画班の辞退により再編を行うため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
【1】目標達成に向けた領域の取り組みについて 本領域は、1)転写環境の形成に直結する化学修飾がエネルギー代謝に働きかける作用、2)エネルギー代謝の変化が転写環境の形成に及ぼす作用、というクロストークを支える分子実体と、その制御メカニズムを解明することを研究の目的としている。当該研究領域は目標達成のため、転写環境の形成に必要な「1.書き込み」、「2.読み取り」、「3.取り去り」、「4.書き換え」を想定し、それぞれに計画班を配置してきた。一つの計画班の廃止にあたっては、「2.読み取り」の研究が本領域において重要な位置を占めることを考慮し、その影響を最小限に止め、研究を推進できる組織を再構築した。 【2】一つの計画班の廃止にあたっての研究の変更について 領域代表が計画研究の進捗の評価と見直しを実施致し、特に、「2.読み取り」において廃止された計画班の担当であったエネルギーとエピゲノムを結ぶタンパク質NML(nucleomethylin)の解析については、清水班を中心に遂行する。後半の2年間は、NMLの機能制御を目的として、NMLのメチル化酵素ドメインの構造からデザインした阻害性合成低分子化合物とNMLの構造解析を清水班で行う。また、手薄になることが危惧される「2.読み取り」については、五十嵐班のSAM合成酵素複合体や、中尾班のクロマチン結合因子複合体に関する研究などを推進することで補強する。その他の計画研究においては、遅れが予想される部分については焦点を絞り、「生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク制御」の当初の目標に向けた最大限の成果が得られるよう、領域代表がリーダーシップを発揮して、順調な展開の実現を目指す。 平成26年度は、総括班会議、転写代謝セミナー、若手ワークショップを開催し、領域内外の交流を推進する。領域研究の発展のため、若手交流や社会貢献を、引き続き行う。
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Research Products
(12 results)