2015 Fiscal Year Annual Research Report
重力波天体の多様な観測による宇宙物理学の新展開の総括的研究
Project Area | New development in astrophysics through multimessenger observations of gravitational wave sources |
Project/Area Number |
24103001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 卓史 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80155837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 貴浩 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40281117)
神田 展行 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50251484)
河合 誠之 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (80195031)
吉田 道利 広島大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90270446)
ヴァギンズ マーク 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90509902)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 重力波 / x線天文学 / 光学赤外天文学 / ニュートリノ観測 / データ解析 / 重力波の理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の最も大きな事件は米国の4Kmx4kmの2台のレーザー干渉計からなるaLIGOによる初の重力波観測が2016年の2月11日に公表された世界初の重力波の直接検出である。この領域が主体となって重力波発生源天体からの電磁波信号検出のためのJapanese vollaboration for Gravitational-Wave Electro-Magnetic Follow-up Observation (J-GEM) を組織した。このJ-GEMと国際宇宙ステーション搭載の全天X線監視装置MAXIはaLIGO-Virgoと追観測パートナーとしての協定(MOU)を結んで追観測の準備を進めてきた. J-GEMに参加している南天にある名古屋大学のB&C 61cm望遠鏡において9月20日から26日に追観測が行われ,東京大学木曽観測所のシュミット望遠鏡の広視野カメラKWFCでも9月18日に限界等級が約18等級で24平方度の観測が行われた。いずれの観測でも有意なイベントは検出されていない。MAXIは全天を約90分で観測可能であるが,今回の到来方向の誤差領域の90\\%はイベント発生後30分で観測された。そして、1x 10の{-9}乗 erg/s/平方cmという3σの上限値を得た。この重力波源はGW150914と呼ばれるが、質量が太陽質量の36倍と29倍の連星ブラックホールからのもので、我々の銀河中のCgn X-1等ののブラックホール候補の質量の2ー3倍大きなもので、多くの研究者には予想外の重さであった。しかし、本領域の理論班が2年前に予言していた、宇宙で最初の出来た種族III星期限のブラックホールの質量と極めて良い一致をしており、aLIGOの公表論文でも大きく引用され、種族III 星起源が有力である。データ解析チームもaLIGOの公開の生データを独立に解析し、同じ結果が出る事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の所で既に述べたように、aLIGOとMOUを結ぶことによって、重力波の直接観測の後にfollow up観測を実施出来た。ただ、GW150914は本格的なO1(Observing Run 1)が始まる2日前のengineering run 中に発生した為、MOUに基づいた通知が2日遅れたので光学観測には不利であった。また、今回は2つのブラックホールノ合体が地球から12億光年の距離で起きたので、本領域独自の反ニュートリノを識別可能な世界初のニュートリノ観測装置は稼働中であったが、信号は受信しなかった。しかし、全天を常時定期的に観測しているMAXIはGW150914の合体時のX線放射の上限を得た。また、データ解析チームはaLIGOとは1000倍のノイズに隠れている小さな重力波信号を取り出す事に成功し、aLIGOの結果を確認した。最も大きな成果は理論グループが2年前に揚言していた連星ブラックホールの質量に誤差の範囲でピッタリ合う事である。また公表されたaLIGOのO1の重力波の検出可能距離、duty cycle等を考慮すると種族III星起源の場合、今回3イベント位あってもよいとなるので検出率の観点からも矛盾しない結果である。GW150914のSNR=24であるがSNR=10位の連星ブラッルホールの合体とも思えるイベントが10月にも見つかっているが、aLIGOはSNRが低いのでイベントとは認定していない。O1は2016年1月半ばまで継続しているので、まだ未発表のイベントがあるかもしれない。また、3/15からはKAGRAの常温での稼働が始まっており、本新学術領域は、もし何か見つかればaLIGOと同様の即応体制下にある。さらには、2015年はEinstein 方程式100周年記念の年であったので全国15カ所で市民講演会を実施した。こういう意味で概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 代表者会議:これまでと同様に領域代表者と計画研究代表者からなる」「代表者会議」を月に1回, TV会議で定期的に開催し、研究の進行状況の確認等を行う。また、観測等で緊急の事項があった場合にも代表者会議を開く。2) 総括班会議及び評価担当:総括班の中に評価委員会を設けている。今年は最終年度であるので研究の進行の総合的な評価をして頂く。3)領域の最後のシンポジウムを2017年の2-3月頃に行う。4)隔月領域研究会の開催:領域としての一体感と共同研究をさらに押し進めるには定期的なface to facceの会合が重要である。各計画研究が輪番で担当し、公募研究、周辺分野の研究者も含めて開催する。4)領域シンポジウムでは、若手が中心になり、企画、発表をする「若手セッション」を設ける。本領域は多くの普段は接触のない分野の研究者からなるので、その交流は重要である。毎週金曜の10時半から12字まで、重力波に関する事なら何でも良いTV会議を行って来た。多くの専門家が参加して言るので、修士1年の院生でも、何でも質問ができ、その場で専門家が答えるシステムが機能してきた。効果も現れており、継続を行いたい。5)2016年はアインシュタインが重力波の存在を理論的に予言してから100年記念である。そこで、昨年程ではないが、全国の数カ所で市民講演会を実施する予定である。6)今年の2月11日以降、aLIGOの初の重力波検出と関係して多くの新聞、NHK等の報道機関からの取材を受け丁寧に対応して。多くの新聞記事、テレビ番組になっている。また、天文学会ではポストdeadline論文を春に4編発表したし、秋には4時間の特別セッションを企画中である。また物理学会,parity, 日経サイエンスからの記事依頼にも対応して来たがこれらをつずける7)以上の総括班の活動を円滑に進める為に専属秘書を雇う経費も計上する。
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Remarks |
1)人類初の重力波直接検出GW150914の可視光追跡観測を、海外の追跡観測チームと連携して実施した。 2)人類初の重力波直接検出GW150914のX線追跡観測をMAXIによって、海外の追跡観測チームと連携して実施した。
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Research Products
(24 results)
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[Journal Article] Giant Hα Nebula Surrounding the Starburst Merger NGC 62402016
Author(s)
Yoshida, M., Yagi, M., Ohyama, Y., Komiyama, Y., Kashikawa, N., Tanaka, H., and Okamura, S.
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Journal Title
ApJ
Volume: 820
Pages: 48-54
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The Star Formation Rate and Metallicity of the Host Galaxy of the Dark GRB 080325 at z=1.782016
Author(s)
Hashimoto, T., Perley, D. A., Ohta, K., Aoki, K., Tanaka, I., Niino, Y., Yabe, K., Kawai, N
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Journal Title
ApJ
Volume: 806
Pages: 250-260
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Multi-wavelength Observations of the Black Widow Pulsar 2FGL J2339.6-0532 with OISTER and Suzaku2016
Author(s)
Yatsu, Y., Kataoka, J., Takahashi, Y., Tachibana, Y., Kawai, N., et al.
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Journal Title
ApJ
Volume: 802
Pages: 84-95
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] HinOTORI Science Objectives2015
Author(s)
Yoshida, M. et al.
Organizer
Workshop of China-Japan Collaboration
Place of Presentation
Purple Mountain Observatory, Nanjing, China
Year and Date
2015-07-19 – 2015-07-19
Int'l Joint Research / Invited
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