2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Innovative Materials Engineering Based on Biological Diversity |
Project/Area Number |
24120001
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Research Institution | Chitose Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
下村 政嗣 千歳科学技術大学, 総合光科学部, 教授 (10136525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷山 美紀 北海道大学, 情報科学研究科, 教授 (00218463)
石田 秀輝 東北大学, 環境科学研究科, 教育研究支援者 (10396468)
針山 孝彦 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30165039)
森 直樹 京都大学, 農学研究科, 准教授 (30293913)
劉 浩 千葉大学, 大学院工学研究科, 教授 (40303698)
大園 拓哉 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 研究グループ長 (40344030)
穂積 篤 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリア研究部門, 研究グループ長 (40357950)
細田 奈麻絵 独立行政法人物質・材料研究機構, ハイブリッド材料センター, グループリーダー (50280954)
齋藤 正男 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70302239)
野村 周平 独立行政法人国立科学博物館, 動物部, 研究主幹 (80228361)
松尾 保孝 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90374652)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 生物多様性 / ナノテクノロジー / 博物館 / 国際標準化 / データベース / ナノスーツ / 教科書編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
本領域は、生物学・工学・環境科学の異分野連携によって、「生物多様性」に学び「人間の叡智」を組み合わせた新しい学術領域としての「生物規範工学」を体系化し、技術革新と新産業育成のプラットフォームとなる「バイオミメティクス・データベース」を構築するとともに、生物学と工学に通じた人材を育成することを目的としている。26年度は以下の成果を達成した。 (1)A01班で蓄積した「バイオミメティクス・データベース」に基づく画像検討会を開催し研究班間における新規課題の抽出を行った。(2)千歳科学技術大学ナノテクノロジープラットフォームと連携し、生きた状態で高解像度電子顕微鏡観察を可能とする「ナノスーツ法」(バイオミメティック・バイオフィルム)の普及を図った。(3)総括班内に設置した産官学連携委員会を強化するために、バイオミメティクス推進協議会を設立した。(4)6月にフランスのCEEBIOSを訪問して国際共同研究ならびに博物館連携にむけた会議を開催し、定例化することとした。(5)10月にベルギーで開催された国際標準化(ISO TC 266 Biomimetics)の国際委員会に出席し、我が国から提案したバイオミメティクス知的基盤構築の標準化に向けた報告を行うとともに、次回の国際委員会を京都で開催することとした。(6)異分野連携を深めるために、班間連携で「昆虫の飛翔に関するワークショップ北海道版」を企画した。高分子学会、日本化学会、動物学会、応用動物昆虫学会等においてバイオミメティクスの特別セッションを開催した。(7)大学院・学部学生への講義や企業研究者へのリカレントを目的として、教科書編集委員会を設置しSpringer社との出版企画を始めることとした。(8)アウトリーチ活動として北海道大学綜合博物館においてバイオミメティクス市民セミナーを定期開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異分野連携、班間連携による共同研究を促進するために、A01班で蓄積してきた生物のサブセルラー・サイズ構造の画像データベースを領域内で共有化し、画像検索システムを用いた画像検討会を開催し、新規研究課題の抽出ができるようになった。日本化学会や応用動物昆虫学会などの年次大会において、恒常的にバイオミメティクスのセッションを持つ事ができるようになったことで、異分野連携の一層の促進が図れた。韓国との国際会議を企画していたが、先方の都合で26年度内での開催を見送ることとなった。バイオミメティクス推進協議会を設立したことで、異分野連携、産学連携の促進のみならず、国際標準化における我が国の戦略を議論するプラットフォームが具体化された。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)研究班間における異分野融合を効果的に推進するために、これまでに蓄積した「バイオミメティクス・データベース」に基づく“画像検討会”を定期的に開催し、計画班・公募班の研究を補完強化するとともに、生物学へのフィードバックを図る。さらに、将来的な産学連携を視野に入れ、「バイオミメティクス・データベース」ならびに“画像検討会”の運用拠点化に向けてバイオミメティクス推進協議会等との連携を図る。(2)「サブセルラー・サイズ構造」の真の描像と機能発現機構解明を目的として、“ナノスーツ法”の実習普及をはかる。“ナノスーツ法”とは、“生きた状態で生物の高解像度SEM観察”を可能とする技術であり、生物が分泌する保護膜を模倣したbiomimetic biofilmを利用する方法である。本手法を利用することで、これまで高解像度SEM観察ができなかった魚類や植物など湿潤状態の試料や、生きた状態で機能を発現している表面微細構造の“その場観察”が可能となる。”ナノスーツ法”普及とその実施拠点形成に向けて、ナノテク支援プラットフォームやバイオミメティクス推進協議会等の関係拠点・組織との連携を図る。(3)国際標準化については、国内審議委員会との連携のもと、第5回国際委員会を日本で開催する。10月に京都での開催を予定している。(4)高分子学会、日本化学会、日本顕微鏡学会、日本応用動物昆虫学会等の諸学会との共催講演会、研究会を継続的に開催し、積極的に異分野連携を図る。定期開催している国際シンポジウムの他に、バイオミメティクスに関するアジア会議を開催する。(5)教科書編集委員会において学部向け教科書ならびに啓蒙書を編集する。
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