2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | New Ocean Paradigm on Its Biogeochemistry, Ecosystem and Sustainable Use |
Project/Area Number |
24121001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古谷 研 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30143548)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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Keywords | 生態系サービス / 海洋区系 / 物質循環 / 太平洋 / 持続性社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
領域内の研究推進および運営について、各研究計画班相互の連携、データセンターの運営、若手海外渡航支援、領域外への発信から実施した。班間連携として計画研究班A01-2代表者が主席研究員を務める白鳳丸KH-15-4次航海を実施し、項目A01およびA02の各班計画研究班メンバーおよび研究協力者が乗船して黒潮域を中心とした西部北太平洋海域において共同研究を行った。領域全体会議を2015年11月に開催し、成果と今後の計画について討議した。また、各研究班代表者による総括班会議を2015年11月および2016年3月に開催した。総括班会議では、外部評価委員からの指摘事項への対応を中心に議論し、全体として研究の進捗が順調であることを確認するとともに、これまでの研究の進捗を踏まえて、班間横断の研究テーマとして「太平洋における生物生産と栄養塩類の動態」、「安定同位体データベース」を総括班内に立ち上げた。2015年7月に国際シンポジウム「Regional Applications and Nexus of the Ocean Health Index」、同年12月に国際シンポジウム「Developing New Ocean Provinces on Their Biogeochemistry and Ecosystems」を開催した。 データセンターでは、前年度に引き続き、これまでに収集した試料の分析とデータの品質管理を行い、KH-15-4次航海の実施を支援した。若手海外渡航支援はこれまでと同様に学際的な渡航目的に重点を置いて、気候変動と海洋生態系に関するサマープログラム(香港)、学会参加(イタリア)、共同研究(ドイツ)などに計5名を派遣した。領域内の活動を、領域ホームページでの一般向け記事の掲載や9月および3月のニュースレターの発行により領域外に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の交付申請書に記載した研究計画は全て順調に遂行した。さらに、項目A01~A03の計画研究班が中心となって策定した太平洋の海洋区系について、2015年12月に開催した国際シンポジウムにおいて海洋の生物地球化学分野で世界をリードする研究者らから、他に類例のない研究成果であるとの極めて高い評価を得た。これに関連してFuture Earth事務局長から2016年の国際シンポジウムに領域代表者が招待講演の依頼を受けたが、この点は、海洋学分野ばかりでなく、社会科学的な分野を併せ持つ本領域の研究進捗が国際的に関心を持たれていることを示している。以上から、自己評価としては(1)および(2)の中間にあると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
領域立ち上げ時に予定していた最終年度における領域主催の白鳳丸航海の実施が困難になった。研究航海の提案そのものは2016年度実施として仮採択されたが、運行主体である(独)海洋研究開発機構の予算上の都合で2017年度実施に変更されたためである。上述したように海洋学分野の進捗は前倒しで進んでおり、成果達成度が高いことから、航海の延期は本領域の研究遂行に大きな影響は及ぼさないと見込まれる。さらに、白鳳丸航海の代替として領域主催の新青丸航海が2016年度実施で採択されたことに加え、黒潮域で実施される白鳳丸航海に乗船できることから、当初想定していた研究内容は実施しうると見込まれる。 中間評価で指摘された社会科学系分野の研究進捗については、前年度の総括班会議以来、その対応についての検討を進めてきた。項目A04のメンバーは、国連の「国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)」および「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」に日本政府代表団員として参画しており、国際的な合意形成の現場に立ち会って研究を進めることができ、単に参与観察に留まらない成果を出しつつあることを確認するに至っている。最終年度である次年度も、同様の領域運営方針の下で進める。
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Research Products
(3 results)