2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Evolutionary Origin and Neural Basis of the Empathetic Systems
Project Area | Empathic system |
Project/Area Number |
25118001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 壽一 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30172894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒井 章治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (50420469)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | 共感性 / データ管理 / 動物倫理 / シンポジウム / 若手支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
特筆事項として、遺伝情報管理センターの村山計画班を中心とする領域内連携研究により、鳥類の情動伝染の網羅的遺伝子発現データベースを世界に先駆けて完成させたことがある。これにより、鳥類の共感性に寄与する遺伝子領域を同定することで絞り込まれる候補遺伝子領域をターゲットとして、ハトやマウスなど多種との比較解析を行い、恐怖情動伝染に関与する遺伝子の絞込を行える。 平成28年度は、7月に開催した国際シンポジウム「Brain & Social Mind - The Origin of Empathy and Morality」(本領域、国際心理学会議(ICP)2016、日本神経科学大会との共催)への集客のための告知およびその運営に注力した。これに先立ち、4月には関連性理論の提唱者であるダン・スペルベル教授の講演会(長谷川班主体)を言語科学会、日本人間行動進化学会と共催した。これらイベントの開催は、領域の国際的な認知度向上にもつながった。また、12月開催の次世代脳冬のシンポジウムに於いて、昨年同様、新学術「自己制御精神」領域と共催で次世代育成シンポジウムを開催した。 平成29年1月には、第4回領域会議を慶應義塾大学三田キャンパスで開催し、延べ80名が参加した。今回は、C01班の発表を、新学術領域「認知的インタラクションデザイン学」(東京大学 植田一博代表)との合同セッション(参加140名)にて行い、イヌの進化研究の世界的権威であるランゲ博士による特別講演もプログラムに組込んだ。 若手育成については、チュートリアル、領域会議ともに若手のポスター発表を奨励し、旅費の支援を行った。また、4月に麻布大学の大学院生を特定技術習得のため、奈良先端科学技術大学院大学へ派遣しその費用を援助、2017年3月には若手中心の研究合宿を熱海伊豆山研修センターで実施するなど、領域内の若手育成施策を積極的に実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間評価の際に遅れ気味と指摘があった共感性を支える遺伝子基盤の解明に関して、領域内連携による研究の成果として、鳥類の情動伝染の網羅的遺伝子発現データベースを完成させることができたことは大きな進歩である。 各計画班とも最終年度の研究成果取り纏めに向けて、領域横断的な繋りを持ちつつ研究を進めており、現時点までの進捗状況としては、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
各計画班の研究課題達成に向けて、3センター(遺伝情報管理・生体信号情報管理・動物倫理)の継続的運営など、総括班としてのサポートを継続して行う。 研究概要でも述べたように、鳥類の情動伝染の網羅的遺伝子発現データベースを完成させたことで、以下のようなことが可能となる。1.データベースを元に、ゲノムワイド解析を実施し、鳥類の共感性に寄与する遺伝子領域を同定。2.これにより絞り込まれた候補遺伝子領域をターゲットとして、ハトやマウスなど多種との比較解析を行い、恐怖情動伝染に関与する遺伝子の絞込を行う。3.個体の表現型データや、扁桃体や辺縁系といった脳領域ごとの遺伝子発現情報を領域内で共有することにより、最終年度に向けた「共感性」を司る遺伝子を同定する。4.データベースをさらに充実化し、哺乳類や鳥類に共通する共感性の遺伝的なメカニズムが解明できれば、ヒトの共感性について、これまでとは異なる視点からの解釈が可能になる。さらに、共感性を支える遺伝基盤を明らかにすることで、前人未到だった共感性に障害をもつヒトの遺伝基盤研究をも発展させることになる。 研究成果については順次HP等で紹介し、また領域の活動や研究成果を特集したニュースレターを刊行してイベント等で配布するなどし、研究成果を対外的に発信していくように心がける。 シンポジウムについては夏の日本神経科学大会の企画シンポジウムと冬の次世代脳冬のシンポジウムの2つを予定している。若手支援については、研究合宿の2回目を開催し、これからの共感性研究を担う若手研究者の育成に務める。 最終的な研究成果発表の場として、第5回領域会議を、例年の1月ではなく、2018年3月初旬に開催し、領域の締めくくりとする。
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Research Products
(3 results)