2016 Fiscal Year Annual Research Report
The science of mental time--Investigation into the past, present, and future
Project Area | The Science of Mental Time: investigation into the past, present, and future |
Project/Area Number |
25119001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北澤 茂 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00251231)
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Project Period (FY) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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Keywords | こころの時間学 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は過去と現在と未来を区別して生きている。このヒト特有の時間の意識―こころの時間―は、どこから生まれてくるのか。本領域は現在、過去、未来にわたる「こころの時間」の成り立ちを、心理学、生理学、薬理学、臨床神経学を専門とする神経科学者と、ヒト特有の時間表現に精通した言語学者と哲学者、こころの起源を追究する比較認知科学者との間で共同研究を展開することで解明し、新たな学問領域「こころの時間学」を創出することを目指している。 総括班の役割は1) 班員相互の情報共有と議論の場を設けること、2)連携研究を推進すること、3)研究成果を広報し社会にアウトリーチすること、である。以上の役割を実現するために、企画実行委員会は2016年7月10,11日にTKPガーデンシティ札幌駅前にて第1回領域会議、2016年12月21日に学術情報センターにて第2回領域会議と「オシロロジー」領域との合同シンポジウムを開催した。また、2016年10月11, 12日にはTime in Tokyo : International Symposium on temporal perception and experienceと題する国際シンポジウムを共催して開催した。連携研究推進委員会は連携研究に対する支援事業と若手研究者の研究に対する支援事業を公募して実施した。広報委員会は領域のHPとfacebookを通じて本領域の目的と研究成果を広報し、成果を社会に還元した。3名の外部アドバイザーより、大所高所からのアドバイスをいただいて領域運営の改善に生かした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本領域では、(1)脳に時間地図を描き、(2)操作の方法を臨床応用につなげ、(3)時間の意識の進化を解明する、という3つの目標達成に向けて、7つの計画班と後期27の公募班が理系と文系の垣根を超えた連携研究を進めてきた。各班の研究成果はすでに200報を超える学術論文として公表され、連携研究の成果もすでに20報を数えた。(1)については、北澤班(A01, 神経科学)・池谷班(A02, 神経科学)・河村班(A04, 臨床神経心理学)・大津班(B01, 言語哲学班)と公募班(岡ノ谷班・米田班・藤澤班)などの研究成果が結びついて、大脳内側面の楔前部-後部帯状回-海馬のネットワークに現在から過去に至る時間軸が表現されている可能性が浮かび上がった。(2)については、池谷班と公募野村班の研究によりヒスタミンに着目した記憶の操作法が開発された。(3)については、平田班(C01, 比較行動学)を軸として、公募中野班との共同研究が着実に進行して、エピソード様記憶の系統発生と個体発生が明らかになろうとしている。また、若手研究者の育成に関しても、文部科学大臣表彰・若手科学者賞を初めとする若手研究者の受賞が連続しており、順調な成果を挙げている。以上の理由からおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)脳に時間地図を描き、(2)操作の方法を臨床応用につなげ、(3)時間の意識の進化を解明する、という本領域の3つの目標達成に向けて、7つの計画班と32の公募班が理系と文系の垣根を超えた連携研究を推進することができるように一層の支援を行っていく。平成29年度においては、これまでの研究成果を総括して国際的に発信する場として、第2回心の時間学国際シンポジウムを開催する予定である。また、連携研究と若手研究者の研究の支援制度を充実させて、実施する。
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Research Products
(2 results)