2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Nascent-chain Biology |
Project/Area Number |
26116001
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 英樹 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (40272710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 利文 東北大学, 薬学研究科, 教授 (40242812)
稲葉 謙次 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (10423039)
田中 元雅 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (40321781)
千葉 志信 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (20523517)
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Project Period (FY) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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Keywords | 新生鎖 / フォールディング / シャペロン / 翻訳 / リボソーム / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内で産まれる全てのタンパク質は翻訳途上の新生ポリペプチド鎖(新生鎖)の状態を必ず経由する。新生鎖はポリペプチド合成反応の単なる過渡的な中間体ではなく、さまざまなレベルで細胞全体の生命現象の制御と調節に関わることが明らかになってきた。このような新生鎖研究は世界的にも大きなトレンドとなっており、セントラルドグマに隠された大きな未開の大陸として国内外で精力的に研究が進められてきているので、本領域総括班では国内の関連研究者のよりよい研究環境、交流を支援するとともに、国際的に活躍する研究者たちとも議論を交わし、この分野の隆盛に貢献することを目的とした。 28年度の総括班の役割として第一には、計画研究、公募研究に関わらず班員間での交流を行い、一つでも多くの共同研究を実現させることを促した。また、28年度は本領域における重大イベントの一つである国際シンポジウム(9/1~3、河口湖)を開催した。さらに、得られた研究成果を外部に発信するための広報活動も昨年度に増して充実させる。また、26~27年度の成果をとりまとめて中間評価報告書を作成した。この中間評価報告書を元にヒアリングに臨んだ結果、評価A (研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる)という結果を得ることができた。具体的な実績を以下に記す。
1)国際会議の実施(9月1日~3日、河口湖) 2)若手ワークショップの開催(5月23ー25日、淡路島)、3)全体領域会議の実施(1月8日、東京工業大学すずかけ台キャンパス) 4)総括班会議の実施(9月2日、1月8日) 5)研究成果を広く社会・国民に発信するための領域ウェブサイトの運営。6)ニュースレターの発行(10月発行) 7)関連学会でのシンポジウム・ワークショップの開催。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下のような理由を元に28年度の進捗状況を「当初の計画以上に進展している」とした。1)領域内の交流:年度初めの研究計画では、28年度は全班員が集まるのは9月の国際会議だけの予定であったが、国際会議では限られた公募班員しか口頭発表ができず、27ー28年度の公募研究の進捗状況を十分知ることができなかったため、2017年1月に全体班会議を開催した。2)領域内共同研究の拡がり:中間評価報告書をとりまとめた際に領域内での共同研究が少なくとも23件と激増した。特に、真核生物の再構築型無細胞翻訳系(真核PUREシステム)を使った共同研究が8件もあり、領域内で広まっているのが数字の上からも明らかとなっている。真核PUREシステムの開発支援と関連分野での活用は本領域の申請段階で強調した点であり、このような拡がりを見せているのは領域設立の大きな実績と捉えたい。 3)国際会議の成功:河口湖で開催した国際会議は新生鎖を冠した世界で初の会議であり、招待講演者からも高い評価を得た。その証しとして、招待演者の中の二人がNature姉妹紙(Nature Structural and Molecular Biology誌)にmeeting reportを執筆してくれた(Wilson DN and Clark PL ”Climbing to the peak of nascent-chain knowledge” Nat. Struct. Mol. Biol. 23, 949-951, 2016)。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は昨年度の中間評価を鑑みてより一層領域活動の充実に努める。特に、29,30年度の公募班が発足するので、継続班員はもとより、新規に公募班に加わった班員との交流を密に行い、情報交換や共同研究の促進を図る。また、全体領域会議などにより、得られた研究成果の評価を行う。29年度は一昨年、昨年に引き続き3回目の国際シンポジウムを6月に開催する。具体的な項目を以下に記す。 1)国際会議の実施(6月4日、奈良) 2)若手ワークショップの開催(1回/年)、3)全体領域会議の実施(1回/年)、4)総括班会議の実施(2回程度/年) 5)研究成果を広く社会・国民に発信するための領域ウェブサイトの運営。格段の研究成果が得られた際にはウェブサイトでの広報に加えて班員の所属部局と連携してプレスリリースも行う。6)ニュースレターの発行(1回/年) 7)技術ワークショップの開催(1~2回/年) 8)関連学会でのシンポジウム・ワークショップの開催、9)海外アドバイザー/関連研究者の招聘(2名程度/年)、10)高校への出張講義やサイエンスカフェなど得られた成果を国民と共有する(随時)
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Research Products
(9 results)