2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
15H05796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 京子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60222197)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 合成化学 / 高分子合成 / 有機化学 / 均一系触媒 / 再生可能資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれはこれまでに、二酸化炭素の水素化によるギ酸合成と、エポキシドと二酸化炭素からの脂肪族ポリカルボナート合成の触媒開発に携わってきた。しかし、前者においては有機塩基存在下では活性が上がらないこと、後者においても重合触媒活性が不十分なことがいずれも解決すべき問題として残されている。これらの問題を解決するために、本研究では、二酸化炭素を取り込むための遷移状態を安定化すること(すなわち二酸化炭素を取り込んで生じる中間体を安定化すること)に焦点を当てて研究を進めた。
(i)二酸化炭素の水素化:われわれは先にPNP/イリジウム(III)を用いて二酸化炭素を水素化してギ酸を得る反応を報告したが、この触媒が高活性を示すためには水酸化カリウムを必要とする。生成物であるギ酸を蒸留で回収するためにはアミンなどの有機塩基の使用が必須である。本研究期間には、PNP配位子よりも強い電子供与性を示すカルベン配位子PC(II)Pのイリジウム錯体の合成をおこなった。
(ii)エポキシドと二酸化炭素の共重合:コバルト/サレン錯体にアンモニウム基を複数結合させた錯体は、プロピレンオキシドと二酸化炭素の交互共重合に高い活性を示すことが知られている。アンモニウム基の果たす役割は未だに明らかにはされていないが、われわれは二酸化炭素が挿入して生じるアニオンを、隣接するアンモニウム基で安定化している可能性があると考えた。この配位子は合成が多段階にわたり、スケールアップが難しいという欠点がある。本研究期間には、コバルト複核錯体の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り強い電子供与性を示すカルベン配位子PC(II)Pのイリジウム錯体の合成の合成に成功した。また、コバルト多核錯体についても合成済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
PC(II)Pのイリジウム錯体をもちいる二酸化炭素の水素化反応と、コバルト多核錯体を用いるエポキシドと二酸化炭素の共重合反応の検討を開始する。また、パラジウム錯体をもちい、炭素―酸素結合へのエチレンの挿入について検討を開始する。
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Research Products
(14 results)