2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
15H05796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 京子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60222197)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 合成化学 / 高分子合成 / 有機化学 / 均一系触媒 / 再生可能資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)二酸化炭素の水素化によるギ酸合成と、(2)エポキシドと二酸化炭素からの脂肪族ポリカルボナート合成、(3)オレフィンと二酸化炭素の共重合のため触媒開発の三つの課題に取り組んでいる。該年度には特に(2)について顕著な進捗があった。 昨年度までの研究でコバルトイオン3個とランタノイドイオン1個の計4個のイオンを分子内に含むマクロサイクル錯体の合成に成功していた。しかし、昨年度の途中より実験の再現性に問題が生じ、その原因追及にあたった。その結果、出発原料であるシクロヘキセンオキシドと二酸化炭素の水分を可能な限り除去することが、触媒活性の鍵となることを突き止めた。従来のコバルトサレン錯体であれば、少量の水分が活性に影響することは稀だが、本系は極めて酸素親和性の高いランタノイドイオンが含まれていることが原因であると考えられる。 さらに用いるランタニドイオンによって、活性が大きく変化することも確認した。中でもネオジウムイオンを用いた際に極めて高い触媒回転数を達成した(130℃、8時間で13,000回)。この値は複核錯体を触媒として用いる反応の中で最高レベルの値であり、高温で長寿命の触媒の合成に成功した。 一連のランタノイド錯体と触媒回転数および得られるポリマーの分子量との関係を調べるべく、重合結果を(1)イオン半径、(2)金属ー酸素結合解離エネルギー、(3)金属塩化物の加水分解定数、(4)配位水の交換速度定数の四つのパラメータと比較したが、いずれの値とも有為な関連性は抽出できなかった。相反する複数の要因が組み合わさっている結果と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた内容については順当に実施している。また、途中で再現性に問題が生じ研究の遅れが懸念されたが、原因を究明することができ、当初の予定通り高活性触媒の創出に結びつけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の残された期間では、コバルトランタニド多核錯体の研究を論文発表するとともに、オレフィンと二酸化炭素の共重合体について、その材料特性を明らかにしていく。
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Research Products
(16 results)