2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Precise Formation of a Catalyst Having a Specified Field for Use in Extremely Difficult Substrate Conversion Reactions |
Project/Area Number |
15H05796
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 京子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60222197)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 合成化学 / 高分子合成 / 有機化学 / 均一系触媒 / 再生可能資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)二酸化炭素の水素化によるギ酸合成と、(2)エポキシドと二酸化炭素からの脂肪族ポリカルボナート合成、(3)オレフィンと二酸化炭素の共重合のため触媒開発の三つの課題に取り組んできた。最終年度である今年度は、(3)に関連し、ブタジエンと二酸化炭素の共重合によってえられたポリラクトンの反応性を調べるうち、特異な性質を明らかにするに至った。 19世紀の天然ゴムの加硫によるエラストマーの合成の発見以来、高分子反応は材料に新たな性質を付与する手法として広く用いられてきた。セルロースのニトロ化やアセチル化はその代表例である。一方で高分子の修飾は、側鎖の修飾が主流であり、高分子鎖そのものの修飾の例は限られている。われわれは、ブタジエンと二酸化炭素の共重合によって得られるポリラクトンにおいて高分子鎖の官能基変換が可逆的におこなえることを見つけた。まず、ブタジエンと二酸化炭素からラクトンを調製したのち、ラジカル重合によりポリラクトン(Mn = 15,000, PDI 1.2)を得た。次いで、KOHあるいはベンジルアミンを反応させるとラクトンが開環し、ヒドロキシカルボン酸体あるいはヒドロキシアミド体が得られた。 得られたヒドロキシカルボン酸体を180℃で45分間加熱すると、ポリラクトンに戻った。反応は1H NMRおよびIRで追跡できた。開環前のポリマー、開環後のポリマー、再環化後のポリマーそれぞれのSECチャートを比較すると、再環化後はもとの分子量に戻っており、分子間で架橋することなく、加水分解された結合がほぼ完全に元にもどったことがわかった。開環体において水酸基とカルボキシ基が5員環のシス位に固定されていることが、このユニークな高分子反応の原因と考えられる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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