2018 Fiscal Year Annual Research Report
Integration of reactive species-cooperative reaction system
Project Area | Middle molecular strategy: Creation of higher bio-functional molecules by integrated synthesis. |
Project/Area Number |
15H05850
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
福山 高英 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60332962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 光洋 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60566298)
柳 日馨 大阪府立大学, 研究推進機構, 特認教授 (80210821)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 活性種協同系 / マイクロリアクター / トラネキサム酸 / ブロモアリル化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、活性種協同型反応プロセスの集積化法の開発に焦点を当てている。前年度においては触媒充填型フローリアクター を用い、医薬品、化粧品として広く利用されているトラネキサム酸のフロー合成に取り組んだ。Pd/Cを充填したフローリアクターを用い、4-シアノ安息香酸メチルのシアノ基の水素化還元を行ったところ、シアノ基の還元が室温、滞留時間1分で完了しベンジルアミンが定量的に得られることを見出した。また、続く水酸化ナトリウム水溶液による加水分解も約1分で完結し、カルボン酸のナトリウム塩が定量的に得られることを確認した。さらに、芳香族環の還元を行ったところRu/Al2O3を用い90℃、1分で反応が完結し目的生成物であるトラネキサム酸のナトリウム塩が得られることを明らかとした。これらの3つの反応を連結し、トラネキサム酸のワンフロー合成を行ったところ、良好な収率でトラネキサム酸のナトリウム塩を一段で得ることに成功した。得られたトラネキサム酸のナトリウム塩はシス体が主生成物であるが、得られた反応混合物を加熱することでエピメリ化が進行し、望みのトランス体を得ることができた。 また、光照射可能なフローリアクター を用い、アリルブロミドのアルキンへのラジカルブロモアリル化反応が、極めて効率的に進行しブロモ置換1,4-ジエンが良好な収率で得られることを見出した。滞留時間、光強度を変えることでブロモアリル化生成物の立体選択性を制御可能であるという知見を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では複数の反応活性種が協同して作用する活性種協同型反応プロセスの高次集積化を行い、生物機能中分子などの高機能性化合物の迅速合成に資する新たな方法論を開拓することを目的としている。本年度は触媒充填型フローリアクター を用い、医薬品、化粧品として広く利用されているトラネキサム酸のフロー合成に取り組んだ。本反応では4-シアノ安息香酸メチルを出発基質とし、Pd触媒にシアノ基の還元、塩基によるエステルの加水分解、Ru触媒による、ベンゼン環の水素化を連続反応を達成した。また、アルキンのラジカルブロモアリル化反応では得られる生成物がビニル臭素部位を有することから、続くイオン反応、触媒反応により、連続した官能基変換が可能となるものと期待される。また、複数の固体触媒を同一のカラムリアクターに充填した触媒混合型カラムリアクターを用い、単一のカラムリアクターないで複数の触媒反応を一挙に進行させる反応集積化についても継続的に検討を行っており、興味ある知見を得ている。 今年度はこれまでに得られた知見を基に本格的に反応集積化に以降する予定であるが、これまでに得られた研究の達成度は十分に満足のいくレベルであり、最終年度に向けて研究は順調に推移しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の有機合成において、複数の触媒反応を実施する際には触媒同士の干渉を避けるために複数のリアクターを用いて順次反応を実施することが一般的である。混合触媒系による均一系触媒反応の報告もあるが、触媒同士の干渉がない場合に限定され、例えば酸触媒反応と塩基触媒反応を同一のリアクターないで実施することは極めて困難である。これまでに得た触媒混合型リアクターの概念は従来型の「複数の触媒反応はそれぞれのリアクター内で実施する」という固定観念から脱却し、均一系触媒反応では共存できない複数の触媒を同一の反応系に用いることが可能となり、種々の反応の集積化が可能となるものと期待される。本年度はこの概念の一般化に取り組むため、酸、塩基、遷移金属触媒などの触媒を混合した触媒混合型リアクターを用いた、活性種協同型反応プロセスの構築に取り組む。また、アルキンのブロモアリル化反応では得られる臭素置換1,3-ジエンを活用し続くイオン反応、触媒反応との集積化を実現し、ラジカル/イオン、ラジカル/遷移金属集積型ジエン合成を検討する。
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Research Products
(15 results)