2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
15H05872
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 敦夫 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50254272)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 右千夫 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90202366)
江川 潔 北海道大学, 医学研究院, 助教 (40450829)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | GABA / Cl- / Ca2+振動 / γ振動 / てんかん / KCC2 / NKCC1 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ネットワーク病態モデルにおけるGABAシナプス関与:脳波や行動の異常を示したGAD67ヘテロの母体ストレスモデルのGABA作動性自発性/誘発性シナプス後電流のモーダルシフトを確認した。 2.Cl-ホメオダイナミクス関連分子の細胞発振・集団発振への関与:WNK3-KOマウス抑制性シナプス活動頻度が上昇し興奮性シナプス活動頻度は逆に減少していた。taurine transporter-KOでは興奮性/抑制性シナプス後電流双方の振幅が低下していた。 3.Angeleman症候群モデルマウスフェノタイプにおける細胞内Cl-制御の関与:海馬で持続GABA電流の減少、NKCC1の亢進が示唆され、ブメタミドの痙攣閾値減少に関与した可能性がある。 4.Cl-ホメオダイナミクス関連分子変異マウスの振動現象解析:疑似リン酸化KCC2変異マウスではCl-排出能が低下し痙攣重積を起こした。 5.神経細胞発振がネットワーク病態へモーダルシフトする機序のモデル化:Kv2.1突然変異体では、神経連続発火活動を抑制するにもかかわらず発振現象へのモーダルシフトを誘起する。数理的神経回路モデルで示唆された仮説に基づく実証実験を細胞レベルで電気生理学的に行ない、数理モデルの妥当性を検討した。 6.静磁場刺激が大脳皮質神経回路機能に与える影響:大脳皮質スライスに30分間の284 mTないし110-190 mT静磁場刺激を行い、コンダクタンスの増加を証明した。また、生体頭部への同程度の静磁場刺激でも脳波周波数変化を確認した。 7.ネットワーク病態におけるグリアの関与の検討:難治てんかん症例で発見された変異遺伝子のモデル動物を用いてwideband EEGを記録した。また、てんかんモデルでGABA含有アストロサイトが海馬・大脳新皮質で経時的に増減することを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳波周波数成分におけるGABAシナプス関与の解析、ネットワーク病態における遺伝子変異モデルの検討、Cl-ホメオダイナミクス関連分子の細胞発振・集団発振への関与の検討は交付申請書に記載した「研究の目的」どおりに達成した。神経細胞間同期現象に関わるアストロサイトの検討ではアストロサイトのGABA含有増加を発見し、ターゲットを絞れた。また、細胞外タウリンと[Ca2+]i振動では新たに協力者が加わり、ダイナミッククランプ法でアプローチする道筋ができた。その他の研究項目も順調にデータの蓄積が進んでおり、最終年度までに当初目的を達成するめどが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ネットワーク病態におけるGABAシナプス関与:GAD67ヘテロの母体ストレスモデルの自発性/誘発性シナプス後電流の解析と行動解析をさらに進め、エピジェネティックな要因をDNAメチル化を中心に解析し、行動や脳波のフェノタイプとの因果関係をGABAシナプス変化の観点で検討する。2.Cl-ホメオダイナミクス関連分子の細胞発振・集団発振への関与:taurine transporter-KOとWNK3-KOマウスの興奮性・発振性のモーダルシフトの原因として、イオンチャネルや輸送体のリン酸化状態を解析する。3.Angeleman症候群モデルマウスとiPS細胞による検討:モデルマウスにおけるKCC2とNKCC1の発現変化、患者iPS細胞も樹立して解析する。4.KCC2と発振モーダルシフトの因果解析:リン酸化部位変異KCC2発現マウスニューロンの発火リズムのモーダルシフトや、視床下部の性周期におけるKCC2の関与を証明する。 5.神経細胞発振からネットワーク病態へのモーダルシフトのモデル化:変異Kv2.1発現マウスをCRISPR /Cas9システムで作出することにより、数理的神経回路モデルで示唆された仮説を細胞レベルで電気生理学的に実証し、数理モデルの妥当性を検討する。6.静磁場刺激が大脳皮質神経回路機能に与える影響の解析:大脳皮質スライスに静磁場刺激を行うと、細胞膜興奮性が低下することを見出したので、原因分子を同定する。7.ネットワーク病態としてのてんかんの分子・細胞・生理学的検討:けいれん発作モデルにおいてastrocyteのCl-ホメオスタシスを任意に変化させ、発振状態のモーダルシフトを観察し、GABAシナプスアストロサイトのてんかんへの関与を証明する。また、難治てんかん症例で発見された変異遺伝子のモデル動物や発現細胞系を用い、原因分子を探索する。
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Research Products
(31 results)
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[Presentation] De novo mutants of CaMKIIα/β responsible for neurodevelopmental disorders upregulate A-type voltage-dependent K+ currents in hippocampal neurons.2018
Author(s)
Akita T, Aoto K, Kato M, Shiina M, Mutoh H, Nakashima M, Kuki I, Okazaki S, Magara S, Shiihara T, Yokochi K, Aiba K, Tohyama J, Ohba C, Miyatake S, Miyake N, Ogata K, Fukuda A, Matsumoto N, Saitsu H.
Organizer
第41回日本神経科学大会
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