2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Non-linear Neuro-oscillology: Towards Integrative Understanding of Human Nature |
Project/Area Number |
15H05876
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 賢治 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 講師 (60446531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡 宏 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (80435974)
藤澤 茂義 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (20589395)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 階層性 / 同期現象 / 神経回路 / 数理モデル / 生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)大脳皮質・基底核の階層的神経回路の動作と認知・学習・情動機構の探求(担当:森田)、(2)階層内・階層間同期ダイナミクスの数理モデル(担当:郡)、(3)階層性ネットワークの電気生理学的検証(担当:藤澤)という三つの研究項目について、以下のような進捗が得られた。(1)については、シナプスの結合強度の減衰を考えた大脳皮質-基底核-ドーパミン系のモデルによって報酬を目指した自己ペースの行動の速さ(モチベーション)等に関わる実験結果の背景にあるメカニズムを探求し、強化学習モデルに非線形力学系の分岐解析を組み合わせた解析により、それらのメカニズムに関して新奇な可能性を見出したことなどの進捗を得た。(2)については、振動数の大きく異る振動子集団の一般的な振る舞いや解析方法を開発するために、幾つかの数理モデルを検討した。特に、従来の方法では取り扱えなかった非線形な同期領域を求める2次の摂動論を開発した。この手法により、Winfreeモデルなどのシンプルな振動子モデルの同期領域を解析的に求めることができるようになった。(3)については、目標指向性行動中のラットの複数の脳部位から局所電位と神経細胞発火活動を同期に記録できる実験系を立ち上げ、データの収集を開始した。行動課題としては、聴覚情報と嗅覚情報を統合して意思決定を行う「組み合わせ弁別課題」を開発した。また電気生理実験として、多チャンネルシリコンプローブ電極を前頭前皮質と海馬から活動を同時に記録する技術を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)・(2)については、数理モデルの構築、検討、解析について、概ね順調に進行している。(3)についても、行動実験、電気生理学記録実験およびデータ解析系の立ち上げについて、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については、より幅広い情動・学習・意思決定行動の特性とメカニズムに関して、シナプスレベルから回路・行動までの階層性を持ったモデルを発展させ、また実験的手法も用いて、探求していく。(2)については、振動数の大きく異る振動子集団が秩序化したときに、どのような方向性で情報伝達が行われるかについて調べる。特に、解析しやすいモデルを新規提案し、そのモデルを詳細に解析することを検討している。(3)については、今回確立した行動課題は、感覚情報を受ける行動フェーズとそれらの情報を統合をするフェーズが分離して観測できるのが強みである。今後は、このような行動中において、どのような同期活動や階層性が存在するかをデータ解析やモデルを作成することにより明らかにしていく。
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Research Products
(8 results)