2018 Fiscal Year Annual Research Report
広天域深宇宙のイメージングによる加速宇宙の暗黒成分の研究
Project Area | Why does the Universe accelerate? - Exhaustive study and challenge for the future - |
Project/Area Number |
15H05892
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
宮崎 聡 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (20290885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 唯史 国立天文台, 天文データセンター, 准教授 (10300708)
古澤 久徳 国立天文台, 天文データセンター, 助教 (10425407)
小宮山 裕 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (20370108) [Withdrawn]
山田 善彦 国立天文台, ハワイ観測所, 特任専門員 (30751010)
田中 賢幸 国立天文台, ハワイ観測所, 准教授 (50589207)
大栗 真宗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60598572)
浜名 崇 国立天文台, 理論研究部, 助教 (70399301)
中野 淳 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70735620)
川野元 聡 国立天文台, ハワイ観測所, 専門研究職員 (90727398)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 観測的宇宙論 / 天文機器 / 光センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主要課題であるHSCによる広視野サーベイ観測は次節に記述したように進捗は期待通りではないものの、取得された画像については、期待通り良好であった。重力レンズ解析で重要なフィルター(HSC-iバンド)のシーイングの中央値は0.56秒角と極めてよく、深さは同バンドで26等級に達しており、世界でも一線級のデータである。このデータに基づき、HSCプロジェクトとしては初の宇宙論パラメータ推定を行い、論文として公表することができた(Hikage et al. 2018)。銀河形状相関のパワースペクトル解析をフーリエ空間で行い、シミュレーションに基づくモデルと比較し、密度パラメーター(OmegaM)と密度ゆらぎの大きさ(Sigma8)を推定した。他のライバルプロジェクト(米国のDESプロジェクト)と比べると、HSCの観測天域は1/10以下であるにも関わらず、同程度のパラメーター推定誤差に抑えられていることが明らかになった。これは、HSCでは、より、遠方のより見かけが小さい銀河の形状まで正確に計測できているからである。統計的有意性はまだ低いものの、冷たい暗黒物質にもとづく標準模型が予測するパラメータからのずれが見えており、加速膨張宇宙の謎を解くヒントになる可能性がある。今後観測天域を拡大して解析を行うのが非常に楽しみな状況である。 新規CMOS開発は、平成29年度に2560 x 10000 pixel(7.5ミクロン角ピクセル)最初のプロトタイプが完成した。良好な特性を得たため、平成30年度は量子効率のより一層の向上を目指し、背面照射加工を行った。性能特性評価を行ったところ、暗電流が当初想定の5倍程度になっていることが分かった。このため、観測時には冷却が必要となったが、光センサーの冷却に関してはHSC開発で経験を積んで来ているので問題ない。その他の特性については満足できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
取得されたデータは質が高いものの、観測の進捗は予定から遅れている。これは、平成29年11月から平成29年度末までの秋から冬にかけて続いた、マウナケア史上まれにみる悪天候の影響している。さらに、平成30年5月から始まったハワイ島の火山活動のため、5月から半年間HSCの観測が全てキャンセルされてしまった。このため、実質1年のあまり観測の進捗がほとんど見られなかった。 我々が行ってきているHSCデータの解析については、平成30年6月に共同研究者に向けて2回目のデータリリースを行った。これには1000平方度あまりに渡る画像が含まれてはいるものの、観測進捗の遅れにより、全てのフィルターで、設定した積分時間を観測出来ている天域は300平方度のみで、平成28年に初公開されたデータの1.5倍しか増えていない。最先端の観測的宇宙論では、統計精度がギリギリのところで議論が行われているため、深刻である。 また、新型CMOSによる試験計画をすばる望遠鏡で行う予定でいたが、平成30年度は望遠鏡やドームに多くのトラブルが発生したため、観測所員に持ち込み対応をしていただくことが困難になった
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Strategy for Future Research Activity |
研究面では、より解析が難しい、実空間弱重力レンズパワースペクトルの解析を行い、宇宙論パラメータを推定し、標準理論のさらなるテストを行う。また、新しいデータセットを用いたダークマター地図の作成と宇宙構造の進化を行う。 観測の進むペースが当初予定より遅く、研究に与える影響が甚大であるため、すばる科学諮問委員会に、30晩の追加割り当てを申請している。 ドーム修理完了やHSC観測の再開に伴い、すばる望遠鏡スタッフはより多忙になり、新しいCMOSカメラの試験観測を、すばる望遠鏡を使って行える見通しは立たなくなった。このため、2019年9月に広島大学の1.5 m望遠鏡に搭載し、実観測を通じて、性能を評価する予定でいる。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Discovery of the First Low-luminosity Quasar at z > 72019
Author(s)
Matsuoka Yoshiki、Onoue Masafusa、Kashikawa Nobunari、Strauss Michael A、IwasawaFurusawa Hisanori、Goto Tomotsugu、Kikuta Satoshi、Kohno Kotaro、Komiyama Yutaka、Koyama Shuhei、Lupton Robert H、Miyazaki Satoshi、Takata Tadafumi、Tanaka Masayuki and others
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Journal Title
The Astrophysical Journal
Volume: 872
Pages: L2~L2
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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