2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Quality of lipids in biological systems |
Project/Area Number |
15H05902
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末次 志郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (70345031)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 膜脂質 / 電子顕微鏡 / 膜ドメイン / 脂質結合ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 急速凍結・凍結割断レプリカ標識法でホスファチジルセリン (PS) の分布をナノレベルで可視化する方法を確立した。異なる燐脂質で作製したリポソームの凍結割断レプリカを用いることにより、evectin2 のPHドメインと GST を融合させたリコンビナントタンパク質が PS を特異的に標識し、PS含量に依存して標識強度が変化することを確認した。この方法を哺乳類細胞、酵母細胞に用いることにより、従来の方法では検出できなかった小胞体膜の細胞質側膜葉に PS が存在することを見だし、小胞体膜の PS が両葉にほぼ対称性に存在することを明らかにした。また細胞膜では機能的関連が注目されている哺乳類カベオラと酵母 MCC において、周囲の細胞膜領域とは異なる特異な分布を示すことを見出した。 2) BARドメインやアンキリンリピートドメイン(ARD)のリポクオリティに依存した結合に関して、既に調べた組織抽出脂質の脂肪酸組成のちがいを有田班との共同研究により質量分析により同定した。その結果、脂肪酸の飽和度や、脂質の種類は、同一組織でも動物種により異なることがわかった。脂肪酸の組成を変化させた再構成リポソームを合成脂質により作成し、BARドメインやARDの結合を調べることで、BARドメインやARDの結合とリポクオリティの関連を調べた。その結果、BARドメインを含むタンパク質のうち、エンドサイトーシスに関わるエンドフィリンは、両親媒性ヘリックスの挿入により不飽和脂肪酸依存的に脂質膜を切断することを明らかにした。ARDに関しては、ANKHD1に注目し、エンドソームに関する小胞輸送に関与すること、また、ANKHD1と脂質膜の相互作用は、脂質組成に大きく依存することを見出した。これらのタンパク質の脂質膜との相互作用は、リポクオリティによって大きく変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホスファチジルセリンを標識する方法を確立し、リポクオリティについて従来の方法では得られなかった新たな知見を得ることができた。またBARドメインやアンキリンリピートドメインと脂質膜の相互作用がリポクオリティによって変化することを見だし、 BARドメインを含むタンパク質であるエンドフィリンの新たな機能を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した方法を用いて、リポクオリティの変化が膜脂質分布、膜脂質ドメインに及ぼす影響を解析するとともに、新たに複数の膜脂質のナノレベル分布を可視化する方法を開発する。BARドメインやアンキリンリピートドメインを持つタンパク質の機能解析を進め、リポクオリティとの関係の解明を進める。
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