2018 Fiscal Year Annual Research Report
Patient-centered ELSI research on innovative cancer genomics
Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
15H05913
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武藤 香織 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50345766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸 祐一 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10466708)
東島 仁 山口大学, 国際総合科学部, 講師 (80579326)
井上 悠輔 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (30378658)
高島 響子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (10735749)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 倫理・法制度・社会的課題(ELSI) / 研究倫理 / 人工知能 / ゲノム / がん / 患者・市民参画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、家系毎のデータ公開・共有に関する倫理的配慮の検討を行った論文、がん患者や家族を対象としたがん遺伝子パネル検査に関する質問紙調査に関する論文、臨床試験・治験の参加者のインフォームド・コンセント(IC) の経験を明らかにした論文等が採択された。 また、医療AIの展開に伴うELSIの論点整理が進展し、医療AIの学習データとしての診療情報の確保と個人情報保護、学習機能に支援された医療における意思決定と責任のあり方、医療機関を介さない医療AIのあり方などが大きな課題であることを明らかにした。 さらに、研究への患者・市民参画の検討も進み、研究者と患者に対する質問紙調査から、がん研究者は難病の研究者に比べて、患者・市民参画導入を躊躇する傾向にあることを明らかにした。「対話のある研究」のパンフレット製作を通じて、研究者と患者・市民の双方が弁えるべきルールを明確化できた。 以上の研究成果から、診療や研究における大規模データ利用に関するELSI課題を総括する。多くのがん患者・家族が多目的な大規模データ共有の意義を認めているが、実際のデータの流れや手続きには漠然としたリスクがあり、その懸念を解消しうる場が存在していない可能性が示唆される。診療及び研究におけるICは、臨床試験・治験のように安全性や有効性が未確立の行為に関するICであっても、率直な質問や意思決定の場として活用しているとは言いがたいうえ、データ利活用に関して説明者が把握できる状況にもない。がんの診断支援や研究に不可欠な医療AIでは、大規模な診療データの利活用を前提としており、引き続き、患者・市民はデータ利用に関する同意を求められる機会が増えるだろう。本研究成果を通じて明らかになった患者・市民参画のルールを遵守しつつ推進し、診療や研究における大規模データ利用と医療AIの活用に関する啓発の手法自体を検討する必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予想以上に論文が採択され、論点整理が進展していると判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに進めてきた調査研究の結果のうち、論文投稿に至ることができる成果が蓄積されてきたため、今年度も成果発表に勤しみたいと考えている。
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Research Products
(37 results)