2016 Fiscal Year Annual Research Report
Sophistication and application of in vivo imaging technologies by using vector laser light
Project Area | Resonance Biology for Innovative Bioimaging |
Project/Area Number |
15H05953
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
根本 知己 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (50291084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 俊一 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30162431)
川上 良介 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40508818)
大友 康平 北海道大学, 電子科学研究所, 助教 (40547204)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 2光子顕微鏡 / バイオイメージング / 開口放出 / Ca2+シグナル / ベクトルビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、ベクトルビームを活用したマルチビーム型の多光子顕微鏡の構築や改良に成功した。またレーザー強度分布の成形に取り組むことで画質の改善を推進し、開口放出現象の可視化解析を推進した。特にNdベースのパルスファイバーレーザーを用いることで、緑色系の蛍光タンパク質や蛍光分子の効率的な2光子励起が可能となり、高速な観察が可能となった。これをH2BGFPヘアレスマウスの皮膚のin vivoイメージングに適用したところ、旧来のチタンサファイアレーザーよりも深部深部到達性や第二次高調波や蛍光のシグナルの向上を確認できた。 Ca2+インジケータを発現する遺伝子改変マウスや有機小分子系のCa2+指示薬を用いて、Ca2+依存性開口放出における高速の3次元イメージングの可能性を検討した。麻酔下のマウスにおいてコレストキニン刺激時の膵臓外分泌腺房の3次元in vivo Ca2+イメージングに成功した。また膵臓ランゲルハンス島の初代培養標本においてインシュリン開口放出を惹起する高グルコース刺激時のCa2+濃度オシレーションの高速の観察にも成功した。Ca2+依存性開口放出におけるSNARE分子SNAP23の機能についての共同研究の成果を原著論文として出版した。 ベクトルビームの特異的な特性のひとつとして知られている、光軸方向にニードル状の長い強度分布を有する軸方向電場成分を用いた新しい顕微鏡法の開発を進めた。照明光の偏光分布を液晶素子によって放射状のベクトルビームに変換し、回折限界を超える微小スポットを形成し、金微粒子からの散乱光成分のうち、軸方向成分のみの検出を行った。これによって、分子配向イメージングの基盤技術を得ることができた。その他、研究領域の内外との共同研究を推進し、植物細胞の細胞分裂やオートファジー、マウス骨細胞のin vivoイメージングなど新たな知見を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生命科学現象の可視化解析のためには、生きたままの生体組織に対して、非侵襲的かつ高速の断層イメージングが必要である。本年度は、マルチビーム型レーザースキャナーを用いた多光子顕微鏡の高速性を活用したin vivoイメージングの有用性を明瞭に示すことができた。特に、in vivoで麻酔下のマウス体内でのCa2+依存性開口放出において、高速の3Dイメージングに成功し、アゴニスト刺激等が惹起するCa2+波動の発生伝搬の様子を高い時空間分解能で捉えることができた。さらに加えて、ベクトルビームの特性を活用することで、広視野化や分子配向の可視化への方途を開くことにも成功した。またベクトルビームの特徴を生かした新しい分子配向イメージングの開発に必要な基盤技術を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では引き続き、ベクトルビームを活用したマルチビームスキャン型多光子顕微鏡装置の構築・改良を推進し、生体脳や多様な臓器におけるin vivoイメージングへの適用可能性を検討する。 1.昨年度に引き続き、正立型のマルチビーム型2光子顕微鏡装置の完成度を上げる。これによりオープンスカル法等でのマウス生体脳イメージングへの適用可能性の検討を開始する。また、生体脳の光学的な特性について得られた知見を活用し、マルチビーム型多光子顕微鏡に固有の収差を改善し、レーザー集光特性を向上させ、空間分解能と深部到達性の向上を図る。また引き続きベクトルビームの自己治癒効果を活用した深部到達性の向上について検討する。 2.昨年度はベクトルビームを用いた分子配向イメージングの基盤となる、対物レンズの焦点で軸性(伝搬)方向に偏光したビームの作成とそのイメージング応用を示すことができたので、さらに、その生組織への適用可能性を検討する。ベクトルビームを活用した新たな超解像顕微鏡の手法に関する理論的な計算・シミュレーションと実証実験を実施する。また、分子配向イメージングに必要な基盤技術の精度を上げるとともに、超解像顕微鏡への適用も進める。 3.昨年度はベクトルビームの技術を活用しトップハットバームの形成に成功し広視野・高速の2光子イメージグに成功した。引き続きCa2+インジケータを発現する遺伝子改変マウスや有機小分子系のCa2+指示薬を用い、ex vivoやin vivoでの細胞内Ca2+動態やCa2+依存性開口放出機能の可視化解析をさらに推進する。
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Research Products
(46 results)