2016 Fiscal Year Annual Research Report
Historical change of the edible plant utilization with the progress of rice domestication in China
| Project Area | Rice Farming and Chinese Civilization : Renovation of Integrated Studies of Rice-based Civilizations. |
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| Project/Area Number |
15H05968
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| Research Institution | University of Miyazaki |
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Principal Investigator |
宇田津 徹朗 宮崎大学, 農学部, 教授 (00253807)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 博之 愛媛大学, 埋蔵文化財調査室, 教授 (30155064)
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90202978)
上條 信彦 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (90534040)
田中 克典 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (00450213)
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| Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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| Keywords | イネの栽培化 / プラント・オパール分析 / 埋没微地形分析 / DNA分析 / 残存デンプン粒分析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国新石器時代の各期（考古学文化）の稲作遺跡について主要な植物質資源の調査（プラント・オパール分析、DNA分析、残存デンプン粒分析）と稲の生産量や生産性に関する調査（水田探査、埋没微地形分析）を行い、稲作を基軸とした植物質食料資源利用モデルの構築を目指している。今年度は、試料分析と現地調査による情報収集ならびに分析試料の採取を進め、他の計画研究との連携調査を試行した。主な成果は以下の通りである。
【現地調査と分析試料の採取・収集・分析】良渚遺跡群を中心に水田探査と塘山等の水利機能を検証するためのボーリング調査と埋没微地形分析を行った。水田探査では、計画研究02の衛星画像による微細地形面分析と連携した結果、新たな水田埋蔵域が検出できた。また、イネ遺物については、試料の収集とDNAマーカーの開発とともに予備分析を実施し、収集試料中のDNA残存を確認した。イネ以外の植物質資源については、採集した石器や木器から検出された残存デンプン粒の分析から、これらの使途の変化（堅果類加工から穀物の脱穀・調整）を示唆する結果が得られた。また、野生イネの栽培化の検討についてはオーストラリアの地表の野生イネと地層中のプラント・オパール形状の比較データをほぼ整備することができた。
【国内外の研究機関ならびに研究者との連携】江蘇省農業科学院糧食作物研究所と共同研究の協議が整い、イネを中心とした植物遺体のDNA分析を行う実験室を同研究所内に立ち上げることができた。また、中国農業大学との交渉により、イネ遺物から得られた遺伝情報を中国在来イネのデータベースに照合・分析できる体制をほぼ整備することができた。
【情報発信】当該計画研究のホームページの更新充実を進めるとともに、「ひらめき☆ときめきサイエンス事業」の採択を受け、中学生を対象に当該計画研究の目的と成果ならびに分析手法を体験できる講座を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度で、本研究の目的である植物質食料資源モデルの構築の主要な構成要素についてデータの収集から分析までの一連の体制を整備することができた。特に、中国の関係機関との交渉調整が必要で、これまでの日中共同研究でも実現がほとんどできなかった「現地でDNA分析を実施できる実験室の立ち上げ」が今年度中に実現できたことは非常に大きな進展であった。また、中国農業大学との連携で得られたDNAデータの具体的な分析が実施できる体制が整ったことも予定以上の成果であった。さらに、計画研究02の衛星画像による微細地形面分析の成果と連携することで、効率と効果の高い水田探査が実現できた。今後、この方法を用いることで、イネの生産量や生産性の推定における精度と信頼性の向上が大きく期待できる。
以上の状況から、今年度は計画以上に進展していると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
次年度は、この2年間の成果を踏まえ、以下の取組を行うとともに、総括班ならびに他の計画研究と連携して、相乗効果を図る。また、国際共同研究の点で、発表に時間を要するものがあるが、論文による成果発信も進めたい。
【現地調査と分析試料の採取・収集】良渚遺跡群については、莫角山北西側、塘山南側の沖積低地面のボーリング探査を行い、古環境の推定、水田跡の有無、土地利用の様態を把握する。特に、荀山地区については、A-02計画研究班の微細地形面分析と連携し、現地表下1ｍ前後に埋没する良渚文化期の微細地形面を復元し、良渚文化期の水田域とヒシ等の水生植物が捕獲できる浅水域の広がりを検討し、植物質食料資源の量的な推定を進める。
田螺山遺跡についての調査分析では、切り取り土層の土壌構造分析と、堆積物の粒度分析を行い、堆積環境の復原を進める。
【イネ以外の植物質食料資源について】堅果類やイモ類については、昨年度に引き続き、残存デンプン粒分析と石器の使用痕分析を遂行する。残存デンプン粒分析については、これまでの検出デンプンとの比較を行うため時空間的な範囲を広げ、同じ文化変化をたどったと推定される江蘇省などの長江下流域での分析を行う。石器は堅果類のデンプンが検出された磨石様の石器を中心に、他遺跡での検証を進める。また、水生植物（主にヒシ）の栽培化プロセスの検討に取り組む。
【DNAラボの活用について】研究協定を締結した江蘇省農業科学院で収集したイネ遺物のDNA分析を進める。この他に、同時期の食料資源として、可食部が大きい果菜類の利用、特に、比較的出土しやすいメロン仲間に着目し、調査分析の準備を進める。
【情報発信体制の整備 担当：宇田津、雇用技術補佐員】 当該計画研究のホームページの充実を図り、広く国民と関連研究分野への情報発信を行う。また、今年度も採択となった「ひらめきときめきサイエンス事業」の中でも紹介を行う。
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[Journal Article] Archaeogenetic study of prehistoric rice remains from Thailand and India: Evidence of early japonica in South and Southeast Asia2016
Author(s)
Castillo, C.C, Tanaka, K., Sato, Y.-I., Ishikawa, R., Bellina, B., Higham, C., Chang, N., Mohanty, R., Kajale, M., Fuller, D.Q
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Journal Title
Archaeological and Anthropological Science
Volume: 8
Pages: 523-543
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Seed size and chloroplast DNA of modern and ancient seeds explain the establishment of Japanese cultivated melon by introduction and selection2016
Author(s)
Tanaka, K., Stevens, C.J, Iwasaki, S., Akashi, Y., Yamamoto, E., Dung, T.P, Nishida, H., Fuller, D.Q, Kato, K
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Journal Title
Genetic Resources and Crop Evolution
Volume: 63
Pages: 1237-1254
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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