2016 Fiscal Year Annual Research Report
Evolution of personalized value through adolescence
Project Area | Science of personalized value development through adolescence: integration of brain, real-world, and life-course approaches |
Project/Area Number |
16H06399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠井 清登 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80322056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
文東 美紀 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (00597221)
能智 正博 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (30292717)
岡本 泰昌 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (70314763)
荒牧 英治 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 特任准教授 (70401073)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | ナラティブ / 行動 / 脳回路 / 分子データ / 縦断 / 思春期 / 主体価値 / ウェルビーイング(well-being) |
Outline of Annual Research Achievements |
笠井は東京ティーンコホートサブサンプルにおける11歳時調査の脳画像を含む統合データセットを整備した。合計304名の協力者のうち、280名の脳画像データを含むほか、290名の唾液検体からホルモン抽出を行い、DHEA、DHEA-S、テストステロンのデータを統合した。 文東は東京ティーンコホートでの唾液サンプル解析の効率化を検討した。唾液サンプルからDNA抽出を行い、1回の精製で十分量の、高分子かつ精製度の高いDNAを得ることができた。さらにこのDNAを使用し、SLC6A4遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化解析を行い、簡便な処理で良好な結果を得た。 能智は後天性障害者におけるリカバリー過程と主体価値の変遷の縦断的分析を行い、失語症が主体の意識を損なうものであると同時に、社会参加を支える契機にもなるという二重性をもつことを明らかにした。また、先天性の障害児における「主体価値」の長期的な発展と変化の縦断的検討では、幼少時の療育場面を記録した100時間映像から会話を文字にし、分析できる形式にした。 岡本は主体価値に基づいた回避行動の修正と行動のレパートリーを広げる行動変容プログラムを作成し、大うつ病エピソードを伴う新入大学生4名に対して実施し、その実行可能性と心理指標の変化を検証した。次に、A01田中の助言を受け、行動変容プログラムによる回避行動の改善を評価する脳活動測定用の短期/長期報酬の選択課題を作成し、健常者17名を対象に予備検討を行った。 荒牧はクラウドソーシングサービスを利用して様々な感情に関わるエピソードを収集し、頻度や割合から各感情と最も関わりの深い単語を割り当て、日本語感情表現辞書JIWCを構築した。さらに東京ティーンコホートの自由記述回答を用いて、ウェルビーイング指数と質問への回答長との関連を調査し、回答長の長い群が短い群に比べ、高い幸福度を持つことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
笠井は統合脳画像データベースを基に、思春期の第二次性徴とGABAレベルの関係について性差を含めて検証した論文を国際誌に投稿するなど、主体価値発展の脳基盤研究を進めている。さらに、サブサンプル第二期調査(13歳時調査)を進めていおり、脳画像に加え、唾液検体の収集も継続している。既に160名以上の協力を得ており、国際的にも希少な健常思春期児童の脳画像縦断データセットを確立しつつある。 文東は東京ティーンコホートでの対象児からの唾液の収集をすすめており、遺伝子領域のDNAメチル化状態の測定方法の効率化を目指した検討を行い、解析環境を確立した。 能智は、後天性障害者におけるリカバリー過程と主体価値の変遷の縦断的分析については、「障害と自己の意味を継続的に更新する失語症の事例―20年にわたる語りの変遷から―」という論文として、The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine誌にて報告した。 岡本は4名に対して行動変容プログラムを実施した結果、プログラムの実行可能性と予想された心理指標の変化を確認することができた。行動変容プログラムによる回避行動の改善を評価する脳活動測定用の短期/長期報酬の選択課題では、健常者17名を対象に予備検討を行った結果、行動活性が高いほど長期報酬を選択することが示された。 荒牧はナラティヴの特徴を捉えるために大量のエピソードを収集し、より多くのナラティヴサンプルとの比較を行うことを目標に、エピソードバンクの構築を進めている。そのため質問紙をブラッシュアップし、第二弾のデータ収集を行っている。さらにナラティヴデータの分析のため、語彙項目や文法カテゴリの選定、機械的な前処理、一部の人手によるアノテーションを完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
笠井は当事者に対してインタビューを実施していく。D01計画班内連携として、能智からの助言に基づいて、インタビューやコーディングについて、臨床心理学コース(能智)・精神保健学教室(宮本)と連携していく。連携の結果、当事者のナラティブから得られる質的データによって、主体価値の不調からの回復過程の構成概念・回復の促進因子を明らかにし、それらに基づき、主体価値を回復・発展させるような心理介入を開発する。 文東は確立された方法を基にして、すでに採取・保存されている唾液検体のDNA抽出およびメチル化解析やジェノタイピングを進めていく。 能智は、発話内容の分析に加えて、後天性障害者については語り方や対話パターンの分析、発達障害児のビデオデータについては、相互作用に関わる映像の分析も加えていく。同時に、同じD01班のなかで、精神障害者におけるリカバリーの概念を明らかにするフォーカス・グループ・インタビューに協力しており、そこで得られたデータの質的データ分析を引き続きサポートしていく。 岡本は行動変容プログラムの効果を通常ケアと通常ケア+行動変容プログラムを行うrandomized controlled trialよって検証する。質問紙調査による検討だけではなく、A01と共同して作成する課題中の脳活動評価を行い、D01から抽出される主体価値に関わる心理指標、B01から得られる行動指標なども同時に測定することにより、脳基盤との対応づけを行い、相互の関連性を明らかにし、行動変容プログラムによる主体価値の発展過程を明らかにする。 荒牧は発達と関連した言語指標を機械学習等の手法を用いて開発する。また、C01班と連携し、ロンドン大学などのデータも併せて多面的に言語指標によるエピソードの言語解析を試みる予定である。さらに、クラウドソーシングによる大規模なエピソード収集とこれを用いた感情表現辞書構築をすすめる。
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Research Products
(58 results)
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[Journal Article] Neuropsychiatric Disease and Treatment2017
Author(s)
Jinnin, R., Okamoto, Y et al
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Journal Title
Detailed course of depressive symptoms and risk for developing depression in late adolescents with subthreshold depression: cohort study
Volume: 13
Pages: 25-33
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Epigenome-wide association study of DNA methylation in panic disorder.2017
Author(s)
Shimada-Sugimoto M, Otowa T, Miyagawa T, Umekage T, Kawamura Y, Bundo M, Iwamoto K, Tochigi M, Kasai K, Kaiya H, Tanii H, Okazaki Y, Tokunaga K, Sasaki T.
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Journal Title
Clinical Epigenetics
Volume: 9
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] "Detection of resting state functional connectivity using partial correlation analysis: A study using multi-distance and whole-head probe near-infrared spectroscopy"2016
Author(s)
Sakakibara E, Homae F, Kawasaki S, Nishimura Y, Takizawa R, Koike S, Kinoshita A, Sakurada H, Yamagishi M, Nishimura F, Yoshikawa A, Inai A, Nishioka M, Eriguchi Y, Matsuoka J, Satomura Y, Okada N, Kakiuchi C, Araki T, Kan C, Umeda M, Shimazu A, Uga M, Dan I, Hashimoto H, Kawakami N, Kasai K
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Journal Title
NeuroImage
Volume: 142
Pages: 590-601
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] The Association of Current Violence from Adult Family Members with Adolescent Bullying Involvement and Suicidal Feelings2016
Author(s)
Fujikawa S, Ando S, Shimodera S, Koike S, Usami S, Toriyama R, Kanata S, Sasaki T, Kasai K, Okazaki Y, Nishida A
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Journal Title
Plos One
Volume: 11
Pages: e0163707
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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