2019 Fiscal Year Annual Research Report
神経グリア発達によるモチベーションの形成とその破綻・修復機構の解明
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
16H06403
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 隆弘 九州大学, 大学病院, 講師 (70546465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧之段 学 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (00510182)
境 泉洋 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (90399220)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | ひきこもり / 現代うつ / 新型うつ / ミクログリア / 国際診断基準 / 社会的孤立 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者のラボでは、ひきこもりや現代うつの精神医学診断・心理検査・血液を含む多軸的データを取得可能な専門外来を大学病院内に構築し、100名を超える臨床データの集積に成功している。 2019年度は病的ひきこもりの新しい国際評価基準を開発した。従来、「社会的ひきこもり(以下、ひきこもり)」とは、6ヶ月以上にわたり就労・学業など社会参加を回避し自宅に留まっている現象のことを一般的に指していたが、精神疾患との併存や回避状態を評価することは容易ではなく、海外でもひきこもり様の症例が報告され、国際的に通用する「ひきこもり」の評価基準が求められていた。今回の新しい定義では、物理的撤退を必須項目とし、それ以外を補足項目とし、回避や併存疾患の有無を問わないとすることで、これまでの混乱の解決を図った(Kato et al. World Psychiatry 2020)。定義の要点を以下に記す。 「病的な社会的回避または社会的孤立の状態であり、大前提として自宅に居留まり、物理的に孤立している状況である。こうした状況に対して本人が苦悩しているか、機能障害があるか、あるいは、家族・周囲が苦悩しているということが必須項目である。6ヶ月以上を病的な「ひきこもり」とし、3ヶ月以上6ヶ月未満を「前ひきこもり」とする。外出頻度が週2-3回を軽度、週1回以下を中等度、週1回以下で、かつ自室からほとんど出ない場合を重度とする。必須項目ではないが、孤独感の有無、社会的参加の欠如、直接的な対人交流の欠如、間接的な対人交流の有無、および併存症の有無の評価は重要である。」 今回の基準により、一人一人の状態評価に基づく適切な支援を提供しやすくなることが期待される。 分担研究機関の奈良医大では、ひきこもり関連のモデルマウスの開発に成功しており、現在、その脳内基盤にグリアがいかに影響するかの解析をすすめている段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上述のように順調にデータを蓄積している。特に、2019年度は、ひきこもりの国際的に通用する診断評価基準を開発した意義が大きい。本成果は、令和2年1月10日に、120ヶ国が加盟する世界精神医学会(WPA:World Psychiatric Association)の発行する国際学術雑誌「World Psychiatry」のオンライン版に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ひきこもり者および現代うつ患者を含む臨床データを取得するとともに、モデルマウス研究を進めてゆく。
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Research Products
(49 results)