2017 Fiscal Year Annual Research Report
Next Generation Exercise Program For Developing Motivation, Body and Mind Performance
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
16H06405
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 筑波大学, 体育系, 教授 (50221346)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 低強度運動 / 高強度インターバル運動 / ドーパミン神経系 / オレキシン神経系 / 持久力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動物から人への橋渡し研究を通じ、意欲や認知や持久力など身心のパフォーマンスを高める運動条件を解明し、実装可能な運動プログラムの開発を目指す。5年計画の2年目である平成29年度は、実験計画に従い、プロジェクト1及び2を実施した。 プロジェクト1では、実験1-1において、低強度運動(LET)及び高強度インターバル運動(HIT)が海馬における中脳・腹側被蓋野由来のDA神経系を活性させるかどうかを検討した。昨年度までに確立した慢性的なHITモデルにおいて前頭皮質のDA濃度が増加することを確認し、中脳・腹側被蓋野由来のDA神経系が活性化した可能性を示唆した。実験1-2では、海馬に投射するDA神経系の働きを阻害した場合、運動効果が得られるかどうかを検討した。DA受容体阻害薬の海馬局所投与がLETによる海馬乳酸生成を抑制することから、LETが高める海馬機能にDA系の関与が示唆された。また、DREADDシステムについて継続的に検討し、研究遂行に必要な実験環境を整えた。 プロジェクト2では、実験2-1において、一過性のHITが海馬及び前頭前野が担う認知機能に与える影響を検討した。健常若齢成人を対象に、10分間のHITが海馬の記憶機能を向上させるかどうか、海馬特異的な記憶能の評価が可能な記憶課題を用いて検討し、一過性HITによる海馬の機能向上可能性が示唆された。また、10分間のHITが前頭前野の活動と実行機能を向上させる効果に関して、ニューロイメージング研究の一流紙であるNeuroImageに公表した(Kujach, Soya et al., 2017)。実験2-2では、長期間の運動が海馬及び前頭前野機能に与える効果の検証を目的としており、本年度は、音楽に合わせて楽しく運動することで運動継続率を担保しながら認知機能への効果を増強することを狙いとした運動プログラム「スローエロビック」を開発し、次年度の長期運動介入実験への準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト1の実験1-1では、計画通りに運動実験を遂行した。実験1-2では、遺伝子改変動物の搬入に時間を要したが、実験環境は整ったことから、DREADDシステムのセットアップを継続的に実施し、併せて薬理実験を同時並行で行うことで、目的を達成した。概ね計画通りである。 プロジェクト2の実験2-1では、HITの海馬機能に対する効果検証に関して、MRI装置の利用可能日の調整によりMRIを用いた実験が遅れているが、記憶課題成績からの検討によりHITが海馬の記憶能を高めることを確認しており、MRIの準備が整い次第実験を開始できる状況にある。HITの前頭前野機能に対する効果検証に関しては、既に実験結果をNeuroImageに掲載済みであり、全体としては概ね順調に進展している。実験2-2では、運動プログラム開発に加え、MRI各種測定項目の撮影条件検討を終え、計画通り次年度から長期運動介入実験を実施する準備が整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト1の実験1-2では、継続的にDREADDシステムや種々の阻害薬物等を用いることで、運動による海馬適応におけるDA神経系の関与を検討する。加えて、平成30年度は神経変性疾患モデルを導入して運動効果を検証するプロジェクト3を開始する。プロジェクト2では、10分間のHITが海馬の記憶能評価課題の成績を向上させる可能性を確認しており、これを踏まえ、平成30年度は、fMRIを用いてこの神経基盤を検証する。また、子どもを対象にした研究計画に関して、幼児・児童への体育指導を行う事業所の協力を得て実験参加者を確保し、HITが海馬や前頭前野機能に与える効果について検討する。加えて、神経変性疾患モデル動物や、健常高齢者などに対する運動効果を検証するプロジェクト3を開始する。
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Research Products
(37 results)