2019 Fiscal Year Annual Research Report
Next Generation Exercise Program For Developing Motivation, Body and Mind Performance
Project Area | Creation and Promotion of the Will-Dynamics |
Project/Area Number |
16H06405
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 筑波大学, 体育系, 教授 (50221346)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 運動 / モチベーション / 認知機能 / 海馬 / 前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、動物から人への橋渡し研究を通じ、意欲や認知や持久力など身心のパフォーマンスを高める運動条件を解明し、実装可能な運動プログラムの開発を目指す。5年計画の4年目である令和元年度は、実験計画に従いプロジェクト1~3を実施した。 プロジェクト1では、低強度運動に加え、新たに負荷付きの自発運動を用いた高強度インターバル運動 (HIT) でも腹側被蓋野 (VTA) のドーパミン作動性神経 (VTA-DA) が活性化することを確認した。また、昨年度立ち上げに成功したin vivo電気生理を用いて、DREADDによるDA作動性神経の抑制による海馬適応への影響をリアルタイム評価する実験が現在進行中である。 プロジェクト2では、運動がヒトの前頭前野や海馬の機能に与える影響に関して、一過性(実験2-1)、及び、慢性(実験2-2)の効果を検証する。令和元年度は、実験2-1の長期間の超低強度運動が健常高齢者の前頭前野の機能に与える影響に関する運動介入実験はデータ収集が完了、データ解析の大半を終了させ、前頭前野が司るとされる実行機能が向上することを明らかにした(投稿準備中)。一過性のHIT運動はBDNFや乳酸と関連して実行機能を向上させることを解明した(実験2-1)。 プロジェクト3では、身心パフォーマンスの低下したモデル動物としてOLTEFラットを用い、高強度インターバルトレーニング (HIT) の効果を検証した。その結果、4週間のHITにより腎周囲脂肪量など末梢パラメータを改善し、認知機能低下が抑制されることが明らかとなった(実験3-1)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト1では、VTA-DAに対して抑制性DREADD・hM4Diの導入に成功し、神経活動抑制効果を一部確認した。運動効果への影響は検討には至っていないが、昨年立ち上げに成功したin vivo電気生理を併用し、運動効果におけるDAの役割・神経メカニズムを詳細に検討できる見通しである。 プロジェクト2では、長期間の運動が健常高齢者の前頭前野機能(実行機能)を向上させることを明らかにした(実験2-2)。現在、前頭前野の活動と体積の変化について解析中である。10分間のHIT運動の効果検証(実験2-1)関しては、MRI装置の調整により、実験の実施が遅れている。一方、HITの運動効果について血中指標から検討を行ない、一過性のHIT運動はBDNFや乳酸と関連して実行機能を向上させることを解明した。プロジェクト3において、病態モデル動物を対象にHITの効果を検討し、その有用性を確認することができた(実験3-1)。ヒトを対象にした研究では、A02加藤班との共同研究として、高度自閉症者に対するスローエアロビック介入研究を開始し、対象に応じた体力測定法や運動指導法を新たに開発した。またA03田中班と共同で一般学生に対して、3ヶ月間のスローエアロビック介入を実施した。現在、慢性ストレスマーカー、心理尺度、認知機能のデータ解析中である。上記のことから、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクト1では、DREADDシステムとin vivo電気生理を駆使することで、低強度運動およびHITによって高まる海馬認知パフォーマンスにおけるDAの役割と神経メカニズムの解明を目指す。 プロジェクト2では、10分間のHITが海馬の記憶機能へ及ぼす効果をMRIにより検討する。プロジェクト3では、病態モデル動物に対する運動効果のメカニズム解明を進めるとともに、高度自閉症患者に対するスローエアロビック介入研究を継続し、体力、認知機能、脳画像、心理尺度について詳細な解析を行う(A02加藤班との共同研究)。また、令和1年度に一般学生を対象に実施したスローエアロビックに関しては、全体に対する運動効果と共に、抑うつ傾向の有無に着目して詳細な解析を実施する(A03田中班との共同研究)。
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