2019 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Study on Cultural and Behavioral Change through Dispersal and Contact of Human Populations
Project Area | Cultural history of PaleoAsia -Integrative research on the formative processes of modern human cultures in Asia |
Project/Area Number |
16H06411
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
野林 厚志 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (10290925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池谷 和信 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (10211723)
上羽 陽子 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 准教授 (10510406)
藤本 透子 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 准教授 (10582653)
山中 由里子 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (20251390)
山田 仁史 東北大学, 文学研究科, 准教授 (90422071)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | ホモサピエンス / 生態資源 / 社会関係 / 象徴化 / 植物利用 / 多様性 / 狩猟採集 / 移動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は領域の研究計画の4年目で、当初計画にしたがい、生業活動、生産活動、象徴化、社会関係等に焦点をあてた主としてアジア諸地域における民族誌的なフィールド調査を実施した。研究分担者、研究協力者はそれぞれの専門とする地域での研究を深めるとともに、他班に所属する研究者と共同研究や共同での成果発表を進めた。特に生態資源利用の多角性について、当該地域の旧石器研究を進めている領域他班の研究分担者との共同研究をすすめ、遺跡周辺の資源地利用のエスノアーケオロジー調査、植物資源の道具への利用の民族誌調査を通して、考古学的記録の解釈に資する知見の蓄積にすすめた。 これらの成果を活かすかたちで「東アジア-東南アジアにおける人類の拡散:生態資源と利用法の多様性からのアプローチ」を統一テーマとした領域の研究大会を本計画研究班がホストとなり国立民族学博物館で開催した(2019年12月14日、15日)。現生人類の拡散の鍵を握ると言われてきた小石刃の東南アジア、東アジア地域における動態が議論された。 熱帯モンスーンから温帯森林にかけた環境差のある地域を対象に、1)考古学的記録における利用資源(食料・道具)の特徴、2)狩猟採集行動や植物資源利用行動の多様性、3)古代西ユーラシア人と東アジア人の分岐(古代 DNA 等)の分析等を中心としながら、「小石刃がたくさんある地域」と「そうでない地域」の比較を通して、石器の違いを超えた共通性が資源利用をはじめとする文化的な行動から見えてくるかいなかを論点の一つとした議論の展開を行った。 また、ホモサピエンスの象徴行動に関する研究成果の公開の一環として、国立民族学博物館特別展示「驚異と怪異―想像界の生きものたち」(2019年8月29日から11月26日)を開催するとともに、領域の他班の研究者も分担執筆し『ビーズでたどるホモ・サピエンス史―美の起源に迫る』を刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の野外調査、博物館等における資料調査については大幅な変更はなく、研究の進捗にあわせながら順調にすすめることができた。また、領域の他班の研究者との共同調査、共同研究、共同発表を積極的に進めることができたことは、本計画研究班が領域の問題意識に深くかかわった研究を展開できていることを示すと考えている。 主催した領域の研究大会においても、領域参加の全計画研究班が積極的に関われるような議論の場を提供することができたことから、本計画研究班ですすめてきた調査内容や研究運営が、領域全体の目的や研究活動にたいして親和性が高いことが示されたと考えている。 また、研究成果の内容を博物館の展示で発信するなど、多様なメディアを活かした研究成果の社会的発信も達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
分野の特性上、国際的な学術ジャーナルの件数そのものが自然科学系や社会科学系よりも少ないことから、単著論文を主要なジャーナルに焦点をさだめて投稿し、研究成果の国際的な発信を進める必要がある。 また、共同研究が進んでいることに鑑み、共著での論文、図書の刊行にも注力する必要がある。
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