2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
16H06483
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
花嶋 かりな 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (80469915)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 発生時間 / 転写制御ネットワーク / 細胞間相互作用 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生過程では幹細胞が時空間軸に基づいて異なる種類の細胞を産生することで組織や器官をつくり上げていくが、各組織幹細胞の中でも脳を構築する幹細胞は時間に対する感受性が高いことが知られている。本研究では組織形成における時間コードの実体を明らかにするために、大脳皮質をモデルとしたニューロン-幹細胞間の相互作用に焦点をあて、これまで大脳皮質の主要な層ニューロンのサブタイプの産生タイミングを決定する発生時間のドミノ式制御因子としてFoxg1を同定してきた。今年度はFoxg1下流の遺伝子制御ネットワークを明らかにするために、Foxg1の条件的遺伝子欠失及びCRISPR-Cas9システムを用いたFoxg1の転写制御配列の操作により、Foxg1が核内受容体因子であるNr2f1遺伝子の発現を抑制することで大脳皮質の層特異的サブタイプの分化を決定していることを明らかにした(Hou et al. Nat Commun 2019)。これらの内因的機構と並行して、大脳皮質幹細胞から分化する娘細胞を生体内で標識し、分化ニューロン-神経幹細胞間の接触動態およびシグナルの伝達経路について解析を行い、細胞間シグナルの制御に関わる分子メカニズムと細胞分化のタイミングへの影響を明らかにした。また大脳皮質の異なる神経細胞サブタイプの時空間的な分化と配置パターンを決定する外因性機構を明らかにするために、誘導型Cre組み換え酵素のノックインマウスとタモキシフェン投与により同じタイミングで生み出される層特異的サブタイプのニューロンを標識し、脳スライスおよびin vitro培養モデルを用いたタイムラプスイメージングによる可視化により、同一時間に生み出される神経前駆細胞の時空間的動態を制御する分子群を新たに同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はCOVID-19の影響によりマスク不足による動物室への入室制限、また共同研究の遅延が生じた。その他の実験については概ね予定通りに遂行された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで発生時計における深層ニューロンから上層ニューロンへの分化切り換え時期に変動する遺伝子とその伝達機構について解析を進め、大脳皮質における転写因子の相互作用とその局在が大脳皮質幹細胞の産生プログラムの移行を制御することを明らかにしてきた。最終年度である本年度はこれまでに確立した時期特異的産生細胞の標識システムを用い、領野特異的大脳皮質ニューロンの遺伝学的標識および培養により、レポーター標識細胞のダイナミクスについてin vitroおよびin vivoの解析を行い、大脳皮質神経回路構築における発生時計の空間的制御の実体について明らかにする。具体的には培養下における領野特異的マーカーの発現と形態解析、また発生期における領野間の特性が獲得されるタイミングを明らかにするために、異なる時期に各領域から単離されたレポーター陽性細胞の単一細胞トランスクリプトームから得られた分子群を生体マウスに導入し、経時的に変化する場の情報が大脳皮質ニューロンの動態にもたらす影響とその分子機序を明らかにすることで、脳形成における時間コードの全貌を明らかにする。
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Research Products
(13 results)