2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Interplay of developmental clock and extracellular environment in brain formation |
Project/Area Number |
16H06484
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
見学 美根子 京都大学, 高等研究院, 教授 (10303801)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類脳発生過程において、新たに生まれたニューロンは組織内を移動して皮質や神経核の特定の層に整然と配置し、精緻な神経回路を形成する。しかし、細胞自身の形態や剛性、細胞を取り巻く物理的環境の劇的な変化が、如何にして脳組織構築の時間制御に寄与するのかは殆ど明らかでない。本研究では、原子間力顕微鏡などの微小力学計測技術と新規に開発する力センサープローブを用いた画像解析法を用い、発生中の脳における細胞と組織の力学的性質の時間依存的な変化を制御する分子機構を明らかにすることを目指す。また、このような「場」の力学的特性の変化が、神経幹細胞増殖、分化、細胞運動をフィードバック制御する未知の機構を同定することを目的とする。 核膜分子LMNAに制御される核の剛性が遊走能に与える影響を解析し、LMNAの強制発現で、顆粒細胞遊走が僅かながら有意に遅延することを見出した。これらの実験の過程で、遊走中と遊走直後の小脳顆粒細胞にDNA損傷マーカーが蓄積していることを見出した。多孔性人工膜を用いたトランズウェル遊走アッセイを行うと同様のDNA損傷が確認されたことから、組織間隙をすり抜ける際の核変形による機械的ストレスがDNA損傷を誘発することが示唆された。 小脳顆粒細胞遊走に関して、組織内とガラス表面上でアクトミオシンの集積が異なることを見出していた。組織間隙を模したパターン化基質の改良を行い、これを用いて隘路遊走におけアクトミオシンの動態を詳細に解析したところ、周辺基質から受ける機械的刺激で細胞膜に張力が発生すると、ミオシンの集積が起こることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織の物理的環境がニューロン遊走の力発生機構を変換することが明らかになり、組織環境が遊走に及ぼす影響と分子機構の解析を順調に進めている。LMNAの強制発現で核の剛性を変えた影響を解析したところ、予想に反して大きな影響は認められなかった。一方で組織間隙を遊走した際の機械的ストレスでDNA損傷が起こることを発見した。これらの研究は一部仮説に反した結果となったが、一部予想外の結果を得て、進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
アクチン動態の高速観察と細胞に機械的刺激を加える微小力学的手法を組み合わせ、組織内の遊走時にアクトミオシン収縮力が核後方に集積するメカニズムと分子経路を明らかにする。引き続きLMNAトランスジェニック動物の作成を行う一方、組織の隘路遊走で生じるDNA損傷の詳細を同定する分子生物学実験を行う。
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