2019 Fiscal Year Annual Research Report
Structural analysis of neo-self
Project Area | Creation, function and structure of neo-self |
Project/Area Number |
16H06500
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横山 茂之 国立研究開発法人理化学研究所, 科技ハブ産連本部, 特別招聘研究員 (00159229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹月 健彦 九州大学, 高等研究院, 特別主幹教授 (50014121)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫学 / タンパク質 / アレルギー・ぜんそく / 立体構造 / MHC / TCR |
Outline of Annual Research Achievements |
1. クライオ電顕の単粒子解析による立体構造の決定を目指して、われわれが独自に開発した無細胞タンパク質合成のS-MF法により、膜貫通領域を含む全長のTCR・CD3のα、β、γ、δ、ε、ζサブユニットの人工合成遺伝子を発現し、脂質二重膜のディスクに組み込まれた状態のTCR(αβ)・CD3(γε・δε・ζζ)複合体の調製を行った。サブユニットの量比が正確に1:1:1:1:2:2となったヘテロ8量体の均一試料を大量に得られるように、サブユニットのタグ付加様式を最適化した。 2. 前項1で得られたTCR・CD3複合体試料の電子顕微鏡の予備検討をオーストラリア、メルボルンのモナッシュ大学のロスジョン教授のグループとの共同研究により行った。ロスジョン研究室によって培養細胞で発現して調製したTCR・CD3複合体試料と同等の品質であることが示された。なお、これらの試料は、いずれも、不活性状態の試料であった。他方、2019年9月にN. Gao、Z. Huangらのグループによって、TCR・CD3複合体の不活性型立体構造(単粒子解析)が報告されたが、それと類似していると考えられた。 3. 活性化状態の立体構造の解析を目指して、Cry j 1の13残基ペプチド(NF-pCj1)をβサブユニットに融合させたHLA-DP5の細胞外領域試料と、項目1のTCR・CD3複合体との結合は、TCRヘテロ2量体の細胞外領域試料と同程度に弱く、クライオ電顕の単粒子解析には適さないことがわかった。 4. より安定な複合体を得るため、われわれの結晶構造解析で観察されたHLA-DP5細胞外領域の6量体を再現することを目指して、システインと共有結合を形成する反応基を6カ所に有する人工ペプチドとHLA-DP5のαサブユニットC末端のシステイン残基を反応させる準備を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. 昨年度までに、ペプチドを提示したHLA-DP5がホモ6量体を形成することがTCR活性化に重要であることを実証することができ、既に大きな目標をクリアした。このため、HLA-DP5ホモ6量体とTCR活性化のメカニズムの立体構造レベルでの検討に集中できる状態となっている。 2. TCRを含む立体構造の解明に向けて最もハードルが高かったのが、全長TCR・CD3複合体の大量調製であった。われわれは、独自の無細胞タンパク質合成法(S-MF法)を用いることによって、脂質二重膜のディスクに組み込まれた状態のTCR(αβ)・CD3(γε・δε・ζζ)のヘテロ8量体の均一な試料を大量に調製することに成功した。クライオ電顕の単粒子解析の準備も整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
1. クライオ電顕の単粒子解析が可能な安定なHLA-DP5・TCR・CD3複合体試料を得るため、HLA-DP5細胞外領域の共有結合6量体を調製する。 2. HLAの多量体化の意義を広く検討するため、モデリングの手法の適用を行う。
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