2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
16H06512
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
唯 美津木 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (70396810)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 金属錯体 / 表面 / 触媒 / 固定化 / ヘリシティー |
Outline of Annual Research Achievements |
固体表面を異方性を有する巨大配位子とみなし、固体表面・界面の固定化を介して、金属中心に非対称性を導入することを目指し、表面を介した新しい固定化キラル金属錯体の調製を行った。A01班の金沢大学秋根研究室との共同研究により、秋根研究室で合成されたらせん型コバルト(III)メタロクリプタンド(Co3錯体)をシリカ表面に固定化することを検討した。シリカ表面をエチレンジアミン側鎖を有するシランカップリング剤で修飾し、このエチレンジアミン配位子へのCo3錯体の固定化を行った。室温での含浸によって、Co3錯体をエチレンジアミン配位子で修飾したシリカ表面に固定化できることを見出し、元素分析、XRF測定、拡散反射UV/visスペクトルの測定から、溶液でのCo3核錯体の骨格構造を保ったまま、この錯体をシリカ表面に固定化できることを見出した。 ここに、Co3錯体のヘリシティーを誘起できるキラルアミンとして、キラルなフェニルエチルアミンを一定量添加すると、Co錯体のヘリシティーが発現し、明瞭な拡散反射CDスペクトルの変化が観察された。キラルアミンの添加量に応じて、CDスペクトルの形状が顕著に変化することが明らかになった。Co3錯体に対するキラルアミンの添加当量が比較的小さい場合は、溶液で形成されるキラル錯体とは異なるCDスペクトルが得られることを見出し、表面で特異的に形成される新しいキラル錯体の可能性が示唆された。 また、担持Ru触媒の表面を有機化学種で機能化修飾することで、担持金属種の反応性をチューニングし触媒特性の向上を実現した。更に、キラルな配位子を鋳型とした表面モレキュラーインプリンティング触媒の調製を行い、固定化Ru錯体の近傍にキラル鋳型分子相当の反応空間を構築し、ステロイド類の位置選択的なエポキシ化による反応制御を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新学術領域研究の開始後、班内での共同研究がスタートし、錯体合成や溶液におけるヘリシティー形成の知見をタイムリーにフィードバックしながら、共同研究を進めることができている。本研究では、これまでの研究で既に、固体表面への固定化によって、表面でのみ形成される新しい化学種の存在が示唆される成果が得られ、当初の計画通り、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新学術領域研究の特徴である領域内での共同研究を積極的に活用し、錯体合成や錯体の反応性、アシンメトリー構造などの研究と本研究者が中心となって進めている表面の化学を融合させ、研究を推進する予定である。新たな共同研究もスタートしており、領域の特徴を生かした研究を進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)