2016 Fiscal Year Annual Research Report
アシンメトリック配位空間を鋳型とした機能性ナノ材料創製
Project Area | Coordination Asymmetry: Design of Asymmetric Coordination Sphere and Anisotropic Assembly for the Creation of Functional Molecules |
Project/Area Number |
16H06517
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 卓史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50346079)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 多孔性金属錯体 / ポリチオフェン / フラーレン / 太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機太陽電池などの活性層では、ドナー・アクセプター間の界面構造がデバイスの機能に直結するため、その分子レベルでの精密な制御が必要となる。本研究では、無置換ポリチオフェン(PTh)とC60を多孔性錯体の一次元細孔内に拘束することで、不溶性でプロセスが困難な本組合せでも、これまでにない特異な混合状態を創製できることを示した。[La(1,3,5-benzenetrisbenzoate)]n (1)とC60をボールミルにより混合し、1の結晶性を回復させることで、C60を細孔内に取り込ませた(1⊃C60)。続いて、1⊃C60の残りの細孔内にターチオフェンを昇華により導入し、酸化重合を行うことで、1の細孔内にC60とPThが拘束された複合体(1⊃C60+PTh)を得た。ここで得られた複合体では、異方的な細孔内でC60とPThが完全に一次元的に接触し、通常では取り得ないエンドオン型構造のみを形成していることが示された。そこで、時間分解マイクロ波伝導度測定によるキャリア伝導特性の評価を行うと、有機太陽電池で最も良く利用されているP3HT/PCBMの組合せと同程度の高い伝導度が得られた。興味深いことに、1⊃C60+PTh中で生成したキャリアはP3HT/PCBM系に比べ、千倍以上も長寿命化していることも明らかになった。活性層中のキャリアが長寿命化することで、太陽電池の変換効率が大幅に向上することが知られており、このような特異な接触界面の形成がキーになることが初めて実験的に示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多孔性錯体の一次元性細孔を用いることで、でこれまで形成されたことのないポリチオフェンとC60との完全エンドオン配置を達成できた。このような配向が太陽電池の作成に有用であることが予想されており、本研究において、その特異な光電子機能を発見できたことから、順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
実際のデバイス作成に向けたプロセスの開拓を行っていく。また、多孔性錯体の構造を変化させることで、骨格内にアクセプター性分子があらかじめ組み込まれた系を開発し、ポリチオフェンとの複合体を形成することで、完全にドナー・アクセプターが交互に並んだ材料を開発する。これは太陽電池の構築において、最も理想的な構造であり、本研究を進めることで、高い変換効率を示す材料の開発を行っていく。
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