2017 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of individuality in human cognition and its neurological basis
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
16H06526
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
若林 明雄 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (30175062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧 靖之 東北大学, スマート・エイジング学際重点研究センター, 教授 (10375115)
|
Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 個人差 / 認知・行動的表現型 / 脳皮質血流 / 脳構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
主要な個人差測度についてのデータベースをもとに、認知・行動面の表現型の個人差モデル上の特徴が明確な個人を対象として、MRIによる脳撮像を行い、その多面的解析を行うことで、認知的能力やパーソナリティなどの基本的個人差変数と対応した脳構造の特徴を検討する作業を進めた。現時点では,ASD(自閉症スペクトラム傾向)を指標とした脳構造の個人差の特徴について,MRIによる脳撮像データをもとに解析中である。 また、課題負荷時の皮質活動の計測データによって、脳の機能的な特徴と認知・行動上に表れる個人差の主要な対応関係を明らかにする目的で,本年度は,1)自動的模倣の個人差と皮質活動の個人差の対応関係,2)社会的認知処理時の個人差と皮質活動の個人差の対応関係について fNIRS を使用して測定を行った。前者では,ディスプレイ上に実験参加者と向き合った状態の上半身(肩から胸までと両腕)を呈示し,参加者の課題遂行にシンクロして左右いずれかの腕を前方に延ばす動作をする。このとき視覚的同側性(参加者の右手の動きは画面上向き合った左手の動き=鏡映像)条件と,身体的同側性(参加者・画像ともに右手の動き)条件があり,前者の方で自動的模倣が生じる傾向が強い個人は共感性が高いと考えられている。この個人差と対応した皮質活動上の個人差を探索した結果,右中心前回,右中前頭回,右下前頭回,右眼窩部(fNIRSでの23,24,34,35,44,45ch)においてoxy-Hbに差が見られる傾向が確認された。また後者では,両眼図形による視線刺激と矢印刺激条件を使用した Eye-gaze Simon effect実験パラダイムで反応時間を測定し,同時にfNIRSにより皮質血流を記録し分析を行った結果,視線条件では主として右中前頭回部(24,25,35,36,45,46ch)の oxy-Hb にRTと負の相関が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心理・行動的表現型の基本的個人差次元のモデル化のデータベース作成に関しては,認知的能力,パーソナリティ,認知スタイル,その他の検査課題12種類程度の回答データを年間500程度収集し,累積データの分析によるデータベース作成を進めている。また,脳画像データの収集に関しては,研究分担者によりMRI画像の収集を,基本的な心理検査データと合わせて収集を進めている。 認知負荷状態での皮質血流データの収集に関しては,平成29年度には,自動模倣状態時と視線刺激時の自動的注意シフト時の皮質活動の対応関係について,反応時間と皮質血流におけるoxy-Hbの関係を中心に解析を行い,主として右中前頭回領域における活動状態と認知的傾向の個人差に若干の対応関係の存在が認められた。 平成28年度の予定の一部を29年度当初に持ち越し,予備実験を4-5月期に行うということはあったものの,その後の研究の進行は順調であり,その後の実験などの遂行に関する限り,現時点では当初の研究計画とほぼ対応しており,全体としておおむね順調に進展していると考えられる。あえて問題点を挙げるならば,予算の制約上,fNIRSをレンタルして使用できる期間が限られていることから,機器を使用できる期間内に効率的に実験参加者を集め,無駄なく測定・実験を進めるという点で,さらなる改善の余地があることが考えられるが,現状では,大きな改善策はないため,実験参加者収集の効率化を進める必要があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き,心理・行動的表現型の基本的個人差次元のモデル化の基礎となるデータベース作成を進める。具体的には,認知的能力(CAT, Cubic Operation Task),パーソナリティ(EPQ-R, NEO-PI-R, HEXACO-PI, TEIQue),認知スタイル(EQ/SQ),その他(PDQ4, SPQ, AQなど)の回答データを年間500程度収集し,累積データの分析によるデータベース作成を進める。 また,脳画像データの収集に関しては,研究分担者を中心に,MRI画像の収集を,基本的な心理検査データと合わせて収集を進める。 脳の機能的な個人差指標と脳活動の関連性に関しては,引き続きfNIRSを使用して,認知負荷時の皮質血流状態の測定・記録と,認知課題のパフォーマンスの関連性を分析するが,認知的課題としては,注意のトップダウン効果とボトムアップ効果の条件を組合せ,認知スタイルの個人差との関係を検討することに加え,パーソナリティの基本次元に関連するBIS/BASモデルとの関連性も検討する予定である。 さらに,個人差の基本次元モデルの構築に当たっては,A03グループとの連携により,データベースを使用した数理モデルによる検討を進める。また,公募班との連携により,認知負荷時の脳の活動状態の個人差について,皮質血流状態では測定できない深部脳の活動状態(特に,海馬,扁桃体,視床など)について,fMRIを使用した実験計画を検討し,年度内に予備実験を実施することを目標としている。同様に,別の公募班との連携により,BIS/BASモデルのマウス実験への適用可能性を検討するための予備実験を考案し,基本的個人差・個体差次元のヒト=マウス共通モデルの可能性を検討する。
|
Research Products
(10 results)