2019 Fiscal Year Annual Research Report
How sperm epigenetic profiles impact on gene expression in the brain of offspring
Project Area | Integrative research toward elucidation of generative brain systems for individuality |
Project/Area Number |
16H06530
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大隅 典子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00220343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 塑 東北大学, 文学研究科, 准教授 (70463891)
沖 真弥 九州大学, 医学研究院, 講師 (90452713)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 脳科学 基盤 / 社会脳科学 脳計測科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
①マウス精巣ゲノム、エピゲノム、遺伝子発現解析:前年度までに同定した候補転写因子について、技術支援班の協力により作成したCRISPR/Cas9によるTagノックインマウスを用いて解析したところ、免疫染色法によって精原細胞における候補転写因子の発現が観察されたが、シグナル強度およびS/N比改善のため新たにTagタンデムノックインマウスを作製した。Tagタンデムノックインマウスではシグナル強度が顕著に改善した。また、免疫染色法を用いた画像イメージングによって、マウス加齢精巣におけるヒストン修飾の変化プロファイルを作成し、加齢によって発現量が変化するヒストン修飾を同定し、報告した。 ②仔マウス個別脳内遺伝子発現様態解析および脳画像解析: 前年度に得た胎生14.5日目の雌胎仔脳のRNA-seqデータ(若齢雄および加齢雄由来の仔)を加え、胎生11.5日目および胎生14.5日目の雌雄胎仔脳のRNA-seqデータを取得した。11.5日目・14.5日目X雌・雄X若齢・加齢=8群の解析用データを得た。 野生型雄マウスの加齢による仔マウスへの影響を解析するために、個体識別を行った仔マウスの脳構築について、神経活動マーカーc-Fosを用いた神経活動マッピングを行い、超音波発声測定前後の神経活動を解析した。超音波発声測定の2時間後の脳の特定領域においてc-Fosの発現増加が観察された。 ③仔マウス個別多種行動解析および脳生理機能解析:個体識別を行った仔マウスについて、生後3、6、9、12日目における母子分離超音波発声の発達過程を詳細に解析した。主成分分析に加え、深層学習を用いたオートエンコーダによる超音波発声の発達過程の軌跡を解析した結果、若齢雄由来の仔では日数を追うに連れて第1および第2成分が収束し個体ごとのばらつきが減少するのに対して、加齢雄由来の仔では第1および第2成分成分が収束せず個体ごとにばらつきが大きいままであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①マウス精巣ゲノム、エピゲノム、遺伝子発現解析:同定した転写因子は、加齢による低メチル化領域の重要性や脳構築過程における遺伝子発現制御に関与し、加齢における脳機能の変化について重要な知見を得ることができると期待される。今後、転写抑制因子にTagを付加したノックインマウスの若齢雄および加齢雄において、加齢が転写抑制因子の発現に及ぼす影響を解析する予定である。また、加齢によって変化が見られたヒストン修飾について、この神経系の発生発達に影響している可能性があり、父親の生殖系列のエピゲノム変化と仔の公道発達との間の関係に新たな光を当てることができると期待される。 ②仔マウス個別脳内遺伝子発現様態解析および脳画像解析:若齢父/加齢父および雄/雌の4群、それぞれ3個体について、遺伝子発現量と発現プロファイルの再解析を行い、解析候補遺伝子の絞り込みを行っている。また、神経活動マーカーc-Fosを用いた神経活動マッピングによって、加齢が影響する超音波発声測定に関与する脳領域の解析を引き続き行っている。 ③仔マウス個別多種行動解析および脳生理機能解析:深層学習を用いたオートエンコーダによる母子分離超音波発声の発達過程の軌跡を解析においても、これまでの主成分分析における解析と同様の結果が得られたことから、父親の加齢が仔の超音波発声の発達に影響していることが明らかになった。加齢雄由来の仔マウスの超音波発声発達の分布やその発達様態は、若齢雄由来の仔マウスに比べ大きなばらつきが観察され、若齢雄由来の仔マウスよりも「際立った」個性を示すことが示唆された。
以上より、本研究テーマは順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
①マウス精巣ゲノム、エピゲノム、遺伝子発現解析:加齢によりどのようにしてDMRsの変化が生じるのかについて、および、精巣内精子形成過程におけるヒストン修飾分子の発現局在について解析を行う。また、加齢によって変化が見られたヒストン修飾について、関与する修飾酵素の活性を人為的に操作することにより、加齢精巣において修飾ヒストンの「若返り化」実験を行うことを計画している。 ②ヒト精子ゲノム、エピゲノム、遺伝子発現解析:共同研究先のクリニックより、さらにヒト精子検体の供与を得て、ウェスタンブロットによるヒストン修飾因子の定量を続け、加齢の影響について解析を進める。 ③仔マウス個別脳内遺伝子発現様態解析および脳画像解析:野生型雄マウスの加齢による仔マウスへの影響を解析するために、個体識別を行った仔マウスの脳構築について、神経活動マーカーc-Fosを用いた神経活動マッピングを行う。成体期への影響が残るかどうかに関しても各種分子マーカーを用いて組織学的検索を行う。また、若齢父/加齢父および雄/雌の4群、それぞれ3個体について、遺伝子発現量と発現プロファイルの再解析を進める。 ④仔マウス個別多種行動解析および脳生理機能解析:雄マウスの加齢による仔マウスへの影響について、個体識別を行った仔マウスについて、各種行動スコアの相関性について解析する。また、超音波発声については、ソノグラム画像の深層学習解析を行っている論文などを参考にしつつ詳細なシラブル解析を行う系を確立し、超音波発声の発達の様態についても解析を進める。
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[Journal Article] Dmrt genes participate in the development of Cajal-Retzius cells derived from the cortical hem in the telencephalon.2020
Author(s)
Kikkawa, T., Sakayori, N., Yuuki, H., Katsuyama, Y., Matsuzaki, F., Konno, D., Abe, T., Kiyonari, H., Osumi, N.
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Journal Title
Developmental Dynamics
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Structural and functional defects of the respiratory neural system in the medulla and spinal cord of Pax6 mutant rats.2019
Author(s)
Ikeda. K., Onimaru, H., Inada, H., Tien Lin, S., Arata, S., Osumi, N.
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Journal Title
Brain Research Bulletin
Volume: 152
Pages: 107-116
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Paternal aging causes atypical development of vocal communication in neonatal mice2019
Author(s)
Mai, LL., Kimura, R., Inada, H., Kanon, K., Matsuda, T., Tachibana, O, R., Yoshizaki, K., Komaki, F., Osumi, N.
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Journal Title
bioRxiv
Volume: -
Pages: 738781
DOI
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