2016 Fiscal Year Annual Research Report
多次元バイオロギングによる鳥類・魚類の長距離ナビゲーション行動の包括的理解
Project Area | Systems Science of Bio-navigation |
Project/Area Number |
16H06541
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
依田 憲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10378606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧口 祐也 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (00584153)
塩見 こずえ 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (50756947)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | バイオロギング / 海鳥類 / サケ科魚類 / 野外生理生態 / ナビゲーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海鳥類・サケ科魚類の中距離および長距離ナビゲーションを対象として、中長距離ナビゲーションを包括的に理解することを目的としている。本年度は、データ科学班が行うビッグデータ・ナビゲーションモデルの作成に寄与するデータを得るため、飛翔性海鳥類・潜水性海鳥類・サケ科魚類の野外調査を中心に行った。 2016年8-10月に55羽のオオミズナギドリの親にGPSロガーを装着、44羽回収した。また、8-10月に42羽の親にGPS/加速度ロガーを装着、36羽回収した。2016年12月-2017年2月、南極フランス基地にて、アデリーペンギンの野外調査を実施した。抱卵期および育雛期の繁殖個体にGPS記録計を装着し、計49羽から移動経路データを取得した。2016年11月-12月、アルゼンチンのPunta LeonにあるキバナウとCabo Dos Bahiasにあるマゼランペンギンの繁殖地にて、野外調査を実施した。繁殖地で育雛中の親鳥を捕獲し、GPSや潜水深度、加速度、映像などを記録する各種データロガーを装着し、数日後に繁殖地で再捕獲してデータロガーを回収した。サケ科魚類に関しては、サケからの脳波導出のために静岡県水産技術研究所にて予備実験を行った。ニジマス頭部への脳波電極の固定方法について検討を行った。 データ科学班と共同し、これらのデータを解析した。その一つとして、ディープニューラルネットを用いて海鳥経路の機能分類を行った。また、ログボットの開発を制御工学班と共に行い、次期フィールドシーズンの稼働に備えた。成果の一部をまとめ、学会発表および論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飛翔性鳥類に関しては、当初の計画以上に行動データを得ることができた。また、アルゼンチンの潜水性鳥類でも、ロガー回収率が100%と、類まれな成果を収めることが出来た。一方、北海道で予定していたサケ調査は台風による増水のため調査を行うことができなかった。これらを鑑みて、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
野外行動データの取得に関してはおおむね順調に進んでいるため、引き続き野外調査を行っていく。また、すでに開始している、新型ロガー(ログボット)の開発とフィールドでの稼働、および、得られたデータの解析(データ科学班との共同)をさらに進めていく。また、サケ科魚類に対して進めてきたナビゲーション中の脳神経活動の測定を海鳥類に対しても行い、ナビゲーションの際の行動・環境・認知の統合的理解に向けて推進していく。
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