2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Establishing a new paradigm of social/human sciences based on rerational studies: in order to overcome contemporary global crisis |
Project/Area Number |
16H06547
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
松永 泰行 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20328678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 あえか 就実大学, 人文科学部, 教授 (30388988)
増原 綾子 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (70422425)
鈴木 恵美 早稲田大学, 地域・地域間研究機構, その他(招聘研究員) (00535437)
錦田 愛子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70451979)
岩坂 将充 同志社大学, 高等研究教育機構, 准教授 (80725341)
中山 裕美 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 講師 (90634014)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 国家 / 制度 / 関係性 / 通時的関係 / 錯綜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、主体・制度としての国家が、地域やグローバルなレベルにおける諸変動の影響、さらに難民・移民の到来や宗教・宗派・エスニシティ間の対立など越境的事象の拡散や浸透に抗しながら、いかにその領域主権国家性を維持しているかという観点から、現地調査を含む実証的な調査研究を行い、「グローバル関係学」構築に資することを目指している。2018年度では、国内外のダイナミズムを含めた調査研究の主要対象国として、イラン、トルコ、エジプト、パキスタン、インドネシア、ミャンマーに焦点を当てる一方で、特定の制度的構築のあり方のゆえに顕在化している、難民・移民の移動や受け入れに関わるガバナンスや国際レジームの構築に関する多国間連携の動態、さらに難民・移民の長期的滞在が引き起こすホスト社会における統合・非統合の問題についても、シリア難民に関しドイツで調査研究を実施した。ミャンマーでは、現地の調査機関の協力を得て、独自の世論調査も実施した。 研究領域全体に関わる「グローバル関係学」の理論的視座の構築へ向けた活動の一環として、2018年9月に研究代表者が「重層的文脈重視型『グローバル関係学』の視座:その確立のための予備的議論」を「グローバル関係学」オンライン・ペーパー・シリーズ No.2として公開した。分担者も個別研究成果報告を、2つの国際学会(世界政治学会、欧州社会科学歴史会議)、2つの国内学会(日本国際政治学会、グローバル・ガバナンス学会)、さらに領域がセルビア共和国の社会科学研究所と共催で開催した国際会議 Relational Studies on Global Conflictsでそれぞれ行った。加えて、2018年10月と2019年2月に東京で国際研究集会を主催し、ドイツのフンボルト大学移民統合研究所(BIM)およびイギリスのアガー・ハーン大学ムスリム文明研究所と国際共同研究活動を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の最大の成果の一つに、国家と制度を旗印に行っている本研究計画の5年の研究期間の最終成果をまとめる際に分析のための枠組みとして共有しうる「通時的な関係性の思いがけない錯綜がもたらすグローバル関係学的な危機」という視点を、本領域のオンライン・ペーパー・シリーズの形でまとめ、公表できたことが挙げられる。その結果、2019年度を通じて、研究代表者および分担者が、この枠組みおよび視点をそれぞれの研究課題に当てはめながら、実証研究の成果を論考の形にまとめる作業にとりかかれることになった。 また同時並行的に、各分担者のレベルにおいて、着実に現地調査を含む調査研究を進め実証研究に必要なデータ収集を積み重ねてきており、その中間的な成果を国内外の学会や本研究計画が主催あるいは共催の形で関与した研究集会等で報告し、フィードバックを得る機会が作れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、研究期間の最終年度である2020年度中に公刊できるよう、研究期間の最終成果をまとめる作業に本格的に取り掛かる。具体的には、国家と制度に関わる(制度的・社会的)「境界」面に着目しながら、「通時的な関係性の思いがけない錯綜」により起きている「グローバル関係学的な危機」の実証的分析という共通の目標を掲げ、研究代表者と各分担者がそれぞれの研究課題に関わる「危機」的事象を分析的に掘り下げた論考の草稿を準備し、2019年9月を目途に中間報告会を開催して、フィードバックを得る機会をつくる。また草稿を準備する段階において、必要に応じ現地調査等も実施する。その後、論考を完成させ、研究代表者を中心とした編集作業をへて、年度末までに出版社へ原稿を提出できるよう努める。また、この研究成果取り纏めおよび研究課題の範囲の拡大に資するために、本研究計画の特任研究員ポジションを東京外国語大学に新設し、候補者を選任の上、研究作業に参加してもらう。
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Research Products
(16 results)