2019 Fiscal Year Annual Research Report
Regional Integration from a Political Economic Perspective
Project Area | Establishing a new paradigm of social/human sciences based on rerational studies: in order to overcome contemporary global crisis |
Project/Area Number |
16H06548
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石戸 光 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 教授 (40400808)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 雄彦 龍谷大学, 法学部, 教授 (30296305)
池田 明史 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (30298294)
水島 治郎 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (30309413)
畑佐 伸英 名古屋経済大学, 経済学部, 教授 (40363791)
鈴木 絢女 同志社大学, 法学部, 教授 (60610227)
渥美 利弘 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (20587282)
|
Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
|
Keywords | 政治経済 / 地域統合 / 多元的 / 非国家主体 / 関係性 / 複雑性 / 階層性 / 非線形性 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画研究 A02 では、地域統合の分断・統合の要因について、地球規模(マクロ)、国家間(メソ)および国家内部(ミクロ)の階層を横断する主体間関係の複雑性に留意しながら、地域統合の変容についての研究活動を推進した。主な研究関連活動として、中国の一帯一路政策に影響力を持つ林毅夫(リンイーフー)・北京大学国家発展研究院長(元世界銀行・上級副総裁)による講演会を千葉大学にて開催した(2019年12月)。その後、コロナ禍を受けて、ウェブ・セミナー「新型コロナウィルスと地域・統合」を開催しました(2020年8月)。 2018年6月より2020年3月にかけては、「ASEANの縮図」といわれるミャンマーの元首相に研究協力を得ながら、同国の国家統合の課題(民族間の分断およびいわゆるロヒンギャ難民問題)についての同氏の著作を日本語・英語に訳出し、解題を付して計4冊刊行した。 また計画研究と領域全体の双方に関わる事項として、2019年12月には、マヒドン大学インターナショナルカレッジとの共催で、国際会議”International Conference on Resources and Human Mobility”(資源および人の移動に関する国際カンファレンス)を開催し、その成果をJournal of Population and Social Studies の28号(2020)にSpecial Issue として掲載した。 研究成果の社会への普及・還元活動としては、APEC、ASEANなど地域統合を実施する国際機関、参議院、外務省、経済産業省など政府機関に研究で得られた情報・知見の提供を継続的に行い、アジア太平洋および日本の地域統合に関する実際の政策立案に活かしていただいている。コロナ禍を受け、哲学・心理要因も加味したより根源的な地域統合の分断・促進要因に関する考察も進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍を受けて本年度の最後の研究活動が制約され、特に旅費を活用しての調査研究および研究会合の開催が不可能となった。そのため予算の繰り越しを行ったが、その後オンラインを活用することにより、研究活動がすべて寸断されてしまうことなく研究成果の出版を進捗させている。 具体的には、以下の通りの活動を行った(新しいものから順に)。 3月26日ミャンマー元首相キンニュン『私の人生にふりかかった様々な出来事』(三恵社)(上下巻)を出版;12月7日北京大学国家発展研究院長(元世界銀行・上級副総裁)による講演会の開催;8月19日(月)~23日(金)計画研究A02代表者石戸光教授、APECの「サービス貿易指標に関する専門家会合」にて研究報告;9月27日研究会「多元化する地域統合」を開催;8月9日新刊情報「Myanmar's Difficulty With The Western Gate:What The "Rohingya" Issue Poses」;10月12日 計画研究A02(政治経済的地域)の国内研究会を開催;7月1日「計画研究A02 関連会合(APECスタディ・センター・ジャパン(ASCJ)と外務省・経産省APEC室との懇談会)」を開催; 一方で、コロナ禍の影響としては、唯一下記の会合を中止することとなった。 12月24日 研究会 "Region-building in West Africa: Patterns and Prospects" (龍谷大学にて開催予定であったもの)。その意味では研究にやや遅れは生じたものの、全体としては上記の通り、コロナ禍に対応した形でオンライン会合および研究成果(文書ベース)の作成を進めており、全体としては大きな支障なく研究を進捗させることができている。本報告書の作成時点においてもコロナ禍の影響は続いているが、英語による研究成果の準備を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本報告書の作成時点ではすでに達成された内容であるが、5年間の地域統合に関する諸研究の集大成として、岩波書店よりグローバル関係学の研究叢書・第三巻『多元化する地域統合』を刊行し(2021年1月)、出版記念のオンラインセミナーも開催した(2021年2月)。内容的には、第三巻『多元化する地域統合』では「グローバル関係学」を「国家間関係を超えた関係性を重視する新たな学問領域」と理解した上で、国家間関係や企業による貿易や生産ネットワークという従来の見方を超えて、EUやASEANなどの地域組織、国家、企業、産業団体、消費者、宗教・民族集団、政治家個人といった、マクロ、メゾ、ミクロそれぞれの階層の主体が関係を紡ぎながら相互作用し、政治経済的地域統合の促進や停滞といったダイナミクスを創出させるという視点に立つ12の章から成る。公式には国家間の対立や協調の結果として進行する地域統合の促進と分断が、実は国家内部の個人や集団、国境を越えて広がる様々なネットワークに大きく影響されている状況の描写を行った。 政治経済的地域統合の統合・分断要因が本来的に有する多元的な特質、すなわち一枚岩の本質を有する国家主体間の関係性を超えた複雑性、階層性、非線形性という側面を克明に描写し、分断が突発的に起きうる状況を学理的に解明しようと努めている。今後もさらに具体的な地域統合(たとえばASEANおよびEU)の実証的な観察に根差しながら、地域統合を題材とした関係性の学理の確立に取り組む予定である。その上で、具体的な成果として、英語の研究書籍を出版することを計画している。その際には、地域統合を行う国家主体のみならず、非国家主体の挙動が大きな影響力を持っている点に焦点を当て、質的および量的な観点から新たな学術となりうる学理の展開をしながら実証的な研究になればと研究グループとして計画している。
|
Research Products
(28 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 政治学入門2019
Author(s)
永井史男・水島治郎・品田裕
Total Pages
384
Publisher
ミネルヴァ書房
ISBN
9784623085682
-
-