2019 Fiscal Year Annual Research Report
Control of proton motive force components by ion transport system
Project Area | New Photosynthesis : Reoptimization of the solar energy conversion system |
Project/Area Number |
16H06558
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
魚住 信之 東北大学, 工学研究科, 教授 (40223515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 寿 東京大学, 生物生産工学研究センター, 特任教授 (90349788)
池内 昌彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 名誉教授 (20159601)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 膜輸送体 / 膜電位 / プロトン駆動力 / イオン / チラコイド膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. KEA3のG422R置換体によるイオン輸送活性の強度の変化の遺伝学的結果を,分子レベルで検証するためにKEA3-G422RのK輸送活性を調べた.大腸菌の発現量を測定して,比輸送活性を求めたところ,生理的な結果と一致することが明らかとなった(研究代表者). 2. KEAアンチポーターのホモログである藍藻の6種類のNa/Hアンチポーターの輸送活性の測定の測定を行った.大腸菌のNa/Hアンチポーター遺伝子変異株にNhaS1-NhaS6をそれぞれ導入して,反転膜を調製後蛍光の消光を測定した.今回新たに検出された輸送活性を持つNhaSや既に報告があるNhaSの輸送輸送活性と比較した(研究代表者). 3 光合成活性に関するnhaS1-nhaS6の寄与を明らかにする目的で,PAM蛍光法を用いて,プロトン駆動力に影響を与えるアンチポーターを検討した.これまでの研究からチラコイド膜に局在するNhaS3の変異株の変化を検討するとともに,他のNhaS1-6について測定を行い,NhaSがプロトン勾配と膜電位に作用することにより,光化学系伝達に影響を与えることを示唆する結果を獲得した(研究代表者). 4.藍藻の陰イオンチャネルをコードすると推定される4つの遺伝子のうち3つ(sll0855, sll1864, slr0617)について、GFP融合タンパク質をE. coliで発現させ、細胞膜での発現を確認した。シロイヌナズナ由来チラコイド膜を用いて再現性良くGΩシールまで到達する方法を確立した(川崎分担者). 5. 藍藻にアスタキサンチン合成にかかわる遺伝子を導入し、アスタキサンチンやその合成中間体の大量蓄積を示した。基質供給にかかわる複数の遺伝子の導入により、アスタキサンチンなどのカロテノイド蓄積を増強した(池内分担者).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.大腸菌変異株から反転膜を調整して輸送活性を測ることに成功した.G422Rの置換はKAE3のC末端領域であり,輸送調節に関与する部位である.タンパク質量当たりの輸送活性は,野生体と比較して大きな値となった..この結果は,共存輸送体の少ない測定手法であり明確な結果を獲得することができた(研究代表者). 2. 藍藻NhaS1-NhaS6のアンチポーター活性,Na,Kのユニポート輸送活性に関して大腸菌反転膜を用いて測定したところ,Na/Hアンチポーター活性を検出した(研究代表者). 3. PAM蛍光法により,nhaS1-nhaS6各変異株の光化学系IIの量子収率,熱放散を測定したところ,いくつかの変異株で野生株との差異が検出された.NhaSが光合成に関与することが強く示唆され,植物のKEAとの比較を検討しながら,生理的役割と環境ストレス適応についてすすめている(研究代表者). 4. 藍藻の陰イオンチャネルをコードすると推定される遺伝子の解析は、大腸菌の発現には困難がともなうことが分かってきた。パッチクランプ法によるチラコイド膜を用いたイオン輸送体解析は.再現性高くかつ効率的な実験方法の確立にむけて途中の段階である(川崎分担者). 5. 我々はシアノバクテリアを用いて、物質生産と光合成や細胞増殖との関係を研究している。これまでに、ソルビトールとアスタキサンチンの生産増強とその細胞増殖への影響を調べ、光合成や増殖の抑制の作用点が明らかになってきた。今後はその作用点を詳しく解析していきたい(池内分担者).
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Strategy for Future Research Activity |
1. 大腸菌変異株発現系と反転膜の調製によるKEAの輸送活性測定は,KEA3以外のKEAの輸送機構の解明に利用する.さらに,オルガネラ輸送体の解析に有効となる酵母オルガネラを用いた電気生理学的測定手段を今後の輸送体の機能解析に用いる(研究代表者). 2.葉緑体の祖先である藍藻のイオン輸送体は,植物の同族輸送体のモデルであり,基礎的知見の獲得につながる.今後,チラコイド膜や細胞膜の局在性を解明して,本輸送体の生理的役割を探る(研究代表者). 3. 藍藻のnhaS1-nhaS6各変異株の光化学系IIの量子収率,熱放散に野生株と比較して変化が生じていることから,今後,環境変化を与えた際の上記の光合成パラメーターの検討を行う(研究代表者). 4.藍藻の陰イオンチャネルをコードすると推定される4つの遺伝子のうち特にsll1024について大腸菌の発現を成功させ、パッチクランプ法で解析を行う.チラコイド膜のイオン輸送体についてパッチクランプ法を用いた解析を行う(川崎分担者). 5. ソルビトール生産では、細胞外へ排出するステップが律速と考えられる。しかし、ソルビトールを取り込む輸送体のみが知られている。今後は、排出輸送体をどのように探索するかが課題である。アスタキサンチン蓄積は細胞毒性が強いことから、その合成中間体のカンタキサンチン蓄積の効果を解析していきたい(池内分担者).
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Research Products
(15 results)