2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Integrative understanding of biological signaling networks based on mathematical science |
Project/Area Number |
16H06577
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保田 浩行 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40376603)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 数理解析 / 多階層データ / インスリン作用 / 肥満 / 動的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
シグナル伝達経路は遺伝子発現に伴うタンパク質量の制御、生体分子の複合体形成、翻訳後修飾、代謝変化など複数の異なる化学的性質を持つ階層によって制御されている。そして、これらの多階層にまたがるシグナル伝達経路の破綻はガンや自己免疫疾患、糖尿病などの疾患を惹起する。現在までの個別研究により、シグナル伝達経路の破綻による疾病発症のメカニズムの理解は深まりつつあるが、その全体像は未だ不明のままである。本研究では疾患に繋がるシグナル伝達経路の破綻解明のための新たな手法として、個別研究とは異なる、多階層の網羅的データから大規模なシグナルネットワークを再構築し、その動的特性を数理解析によって解明することを目的としている。 H28年度にはマウスの腹腔内にインスリン刺激を行い、4時間までの時系列データを取得、そこから基礎となるオームデータの取得を開始した。また、統計モデルを用いた演繹的な解析手法の開発も開始した。また、新たに開始する肥満に伴う肝臓の多階層解析について調査を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初雇用予定であった人員が先方の都合により雇用できなくなった。しかし、急遽公募を行い、適切な人材を雇用できた。一方で、トランスクリプトームと発現プロテオームの統合は順調に進んでいる。また、メタボロームとリン酸化プロテオーム、発現プロテオームの統合手法の開発も順調に進展している。これらを勘案し、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
生体内における短期インスリン応答に注目した多階層にまたがる数理モデルの作成については、引き続き発現プロテオームとリン酸化プロテオームデータの取得を行う。一部の最低限の実験データを取得できた段階で、開発しているトランスクリプトームと発現プロテオームの統合手法の実装並びに確認を行う。リン酸化プロテオームについても、取得できたデータを基に統合手法の実装並びに確認を行う。 新たに開始する肥満に伴う肝臓の多階層解析については、まず、サンプルの取得を行う。サンプルとしてはob/obまたはdb/dbなどのモデルマウスや、食事誘導性の肥満誘導マウスを考えている。どのようなサンプルを用いるかについては引き続き調査を行う。その後、選定した実験系を用いて20週齢程度までの時系列データを取得する。
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