2017 Fiscal Year Annual Research Report
Metabolic adaptation of inflammatory diseases
Project Area | Transomic Analysis of Metabolic Adaptation |
Project/Area Number |
17H06302
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 眞里子 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (10342833)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
|
Keywords | アトピー性皮膚炎 / 転写因子 / NF-kappaB / 炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞は環境の情報を集約し、遺伝子発現や代謝の活性化を介して、細胞の恒常性の維持と適応を行う。免疫システムにおいては、免疫細胞や周辺組織環境の相互作用が、シグナル伝達、転写、翻訳、代謝の高次のネットワークの秩序を保っている。本研究は、アトピー性皮膚炎をはじめとした慢性炎症、免疫応答、免疫応答脱制御に関わる細胞や組織におけるトランスクリプトーム、エピゲノム、プロテオーム、メタボロームのトランスオミクス解析を行い、炎症と代謝の関係を明らかにする。本年は、アトピー性皮膚炎のモデルマウス(皮膚特異的STAT3 欠損マウス)を用い、トランスクリプトーム解析を行った。正常マウスおよび疾患進行の異なるマウス由来のトランスクリプトームデータの解析により、炎症の重症化に関わる転写因子NF-kappaBをデータ駆動学的に予測し、NF-kappaBを活性化させる摂動実験により、個体レベルでの検証を行った。また、炎症を重篤化させる要因として、皮膚の菌そうの組成が重要であることが連携研究者らにより明らかになった。このことにより、NF-kappaBの活性化の度合いが皮膚菌そうにより異なることが示唆された。活性化されたNF-kappaBは炎症性サイトカインを誘導し、炎症の増悪を時系列的に引き起こすこと、さらに、重症化に伴いケラチンなどのマーカー遺伝子の発現レベルが変化することが明らかになった。本研究により、遺伝子の異常と環境条件の2つの条件が揃うことが皮膚炎の重症化を引き起こすメカニズムであることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラスクリプトーム解析により、炎症重症化のメカニズムをデータ駆動的に同定することにより、NF-kappaB転写因子を中心とした炎症のシステム制御を明らかにすることができた。本研究は、概ね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
疾患の重篤度は、環境要因と細胞の内部要因の組み合わせにより、大きく異なることが本研究により明らかになった。今後、炎症性サイトカインや微生物(環境)と宿主(細胞や個体)との相互作用をトランスオミクスにより詳細に解析し、代謝との関係を明らかにしていく予定である。
|
Research Products
(17 results)