2019 Fiscal Year Annual Research Report
Ecosystem dynamics in the Antarctic sea ice zone
Project Area | Giant reservoirs of heat/water/material : Global environmental changes driven by the Southern Ocean and the Antarctic Ice Sheet |
Project/Area Number |
17H06319
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
茂木 正人 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50330684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (40192819)
真壁 竜介 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (40469599)
小達 恒夫 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (60224250)
須藤 斎 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80432227)
高尾 信太郎 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 研究員 (80767955)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | ハダカイワシ / 中深層性魚類 / 海氷 / ハシボソミズナギドリ / 安定同位体分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2020年1月に南大洋アデリーランド沖(東経110度トランゼクトとその周辺海域)において約2週間にわたり東京海洋大学海鷹丸で海洋観測を行った.プランクトン採集に使用したギアは鉛直多層式開閉ネット(VMPS)、ORIネット、ニスキン採水器、大型開閉式フレームトロール(MOHT)などであった.本研究のメインターゲットであるハダカイワシ科魚類の仔魚の他、餌生物となる動物プランクトンの採集が行われた.2019年1月に同海域に設置した3系の係留系のうち2系を回収した.残る1系については,何らかの機器トラブルで浮上せず回収できなかった.観測船「しらせ」で漂流系を用いた観測を行い,回収にも成功した.タスマニア島を拠点として,ハシボソミズナギドリの南大洋における移動経路を調べるためロガーを用いて調査を行った. 2)海氷縁近傍の食物連鎖が,海氷由来のアイスアルジーか海水中の植物プランクトンのどちらを有機物起源としているのか,またいずれをも起源としているのかを推定するために,炭素と窒素の同位体比を中深層性魚類を含めた各種の生物で検討した.その結果,魚類の中ではアイスアルジーへの依存度はソコイワシで最も高く,ハダカエソ,ハダカイワシの順に低いことが明らかとなった.ハダカイワシ類と同様,代表的な中深層性魚類の一つであるソコイワシの消化管内容物を調べたところ,仔魚期はカイアシ類を主な餌としているが次第に餌生物が多様化していくことなどを明らかにした.生物量が大きくハダカイワシ類の餌としても重要な位置を占める端脚類の一種について,消化管内容物を調べた.消化管からは珪藻類が多く出現したが,これらはサルパなど濾食者を摂食したことにより,二次的に端脚類の消化管から見出されたものと考えられた. 3)これまでの成果を、国際学会において5件(招待講演1件含む),国内学会において8件発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた海鷹丸としらせによる観測はほぼ順調に進展した.しかし,一系の係留系の回収に失敗したことは,ある程度今後の研究計画に影響を及ぼすことが考えられる.これまで得られたサンプル・データについて解析が進み,公表の準備を進められる段階に入った. 論文の公表はやや遅れているが、5件の国際学会、国内学会において8件の学会発表が行われた.昨年度に比較して多くはないが,今後論文として公表されることが期待される。 以上のことから、進展はほぼ計画通りといえ、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はコロナ禍の影響で,現時点(6月)で,一部のオンラインでの発表を除いて公表の機会の多くがすでにキャンセルされている.また,大学・研究機関での分析も大幅に遅れてようやく始まった段階である.また,南半球の夏季に実施予定の海鷹丸による観測は全面的に中止,「しらせ」による観測も困難となっている. このような状況下にあるため,今年度は,サンプル・データ解析,オンライン会議システムを用いた情報交換,論文執筆等に努める. 今年度実施できなかった観測について,来年度に必要経費を繰り越すことも視野に入れて,来年度の観測の実施を検討する.
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Research Products
(15 results)