2018 Fiscal Year Annual Research Report
Single-cell analysis of tumor heterogeneity arising from the evolution of cancer stem cells
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
17H06325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 徹 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任教授 (70150745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 寛敦 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (30583215)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
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Keywords | 1細胞解析 / scRNA-seq / 癌幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に確立したdroplet-baseの1細胞RNA-seqの解析基盤を用いて取得したがん組織などに対するscRNA-seqのデータを詳細に解析した。その結果、がん幹細胞である可能性を示唆する細胞群を見出した。 1.) 1細胞RNA-seqのための解析基盤の検討:腫瘍細胞は非常に多様性に富んでおり、免疫細胞のように確立されたマーカー遺伝子が存在しないため、腫瘍細胞を分類した結果が本当に機能単位で適切に分類されたかどうかの判定が非常に困難である。そこで、細胞のクラスタリング方法について検討し、細胞の運命を推定する新しい手法であるVelocytoを用いて良好な結果を得た。また、Trajectory解析やImputationといったscRNA-seqに特有の手法についても検討し、解析パイプラインに組み込んだ。 2.) がん検体を対象としたscRNA-seq解析:卵巣がん組織を対象にscRNA-seqを行い、Velocytoを用いた解析によって、大きく4つの細胞群で構成される可能性を見出した。そのうちの1つの細胞群は未分化性の維持に重要な遺伝子や薬剤排出に関わる遺伝子の発現が高く、幹細胞様の性質を有すると推察された。 3.) 膠芽腫幹細胞の階層的分化のscRNA-seq解析:前年度に行った膠芽腫幹細胞の血清分化モデルを用いた経時的なscRNA-seqデータの解析を進め、血清添加による分化誘導に関わる遺伝子や造腫瘍能の維持に関わる可能性がある遺伝子を同定した。また、さらに別の膠芽腫幹細胞2株についても同様の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍検体のscRNR-seqの解析を進め、腫瘍細胞のみを抽出し4つの細胞群に分類した。これらの4つの細胞群は異なる機能、局在を有すると推定され、腫瘍の組織型分類によらず、いずれの腫瘍においても共通して存在する細胞群と考えられる。また、そのなかの1群は、幹細胞マーカー遺伝子の発現が高く、がん幹細胞である可能性がある。これらのことから、次のステップである各細胞群が腫瘍形成(個体)に与える影響やがん幹細胞を頂点とする階層的な多様性構築の機構について解析するための基盤が整いつつあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
・ がん検体を対象としたscRNA-seq解析 本年度に見出した4つの細胞群のマーカー遺伝子を同定する。さらに、マーカー遺伝子産物に対する抗体を用いた免疫組織染色によって、腫瘍内の局在やがん微小環境構成細胞などとの相互作用を解析する。また、腫瘍検体よりFACSによって各細胞群をソートし、造腫瘍能や運動能などの機能解析を行う。 ・ 膠芽腫幹細胞の階層的分化のscRNA-seq解析 膠芽腫幹細胞は血清分化によって造腫瘍能が消失することが明らかとなっている。本年度に同定した血清分化によって発現が変動する遺伝子についてRNAi実験を行い、前年度に見出している分化度が異なる細胞群ごとのマーカー遺伝子を指標に、分化誘導に重要な遺伝子の同定を目指す。 また、前年度に引き続きscNRA-seqに関係する解析ツールを精査して解析パイプラインを改良する。特に、scRNA-seqのデータから各群の動態の経時変化をTrajectory解析によってアプローチする手法について検討を進める。
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Research Products
(10 results)