2019 Fiscal Year Annual Research Report
Single-cell analysis of tumor heterogeneity arising from the evolution of cancer stem cells
Project Area | Integrated analysis and regulation of cellular diversity |
Project/Area Number |
17H06325
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 徹 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任教授 (70150745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 寛敦 東京大学, 定量生命科学研究所, 特任助教 (30583215)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 1細胞解析 / 細胞間相互作用 / 腫瘍内不均一性 / 癌 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでに取得したscRNA-seqのデータを細胞間相互作用に着目して解析した結果、腫瘍組織中の腫瘍細胞と繊維芽細胞の相互作用が検出された。また、凍結組織からscATAC-seqにより良好なゲノム高次構造の情報を取得するための条件検討を進めた。 1.)1細胞RNA-seq、1細胞ATAC-seqのための解析基盤の検討:細胞間相互作用を検出するための手法の検討を行い、解析パイプラインに組み込んだ。また、scATAC-seqの解析パイプラインを構築し、scRNA-seqとの統合的な解析基盤の確立に向けた準備を行った。 2.)がん検体を対象としたscRNA-seq、scATAC-seq解析:解析パイプラインに組み込んだ細胞間相互作用を検出する解析をシンジェニック大腸がんゼノグラフトのサンプルに対して行い、腫瘍細胞と異なる2種類の線維芽細胞との相互作用を見出した。それぞれのリガンド-レセプターの発現パターンは異なり、サイトカインを介した相互作用と上皮間葉転換を誘導する因子による相互作用に大別された。また、凍結腫瘍組織からscRNA-seqとscATAC-seqを同時に行うための検討を進め、状態の良い核を取得するための条件を見出した。 3.)膠芽腫幹細胞の階層的分化のscRNA-seq解析:膠芽腫幹細胞3株の血清分化モデルを用いた経時的なscRNA-seqデータの解析を進め、血清添加による分化誘導に関わる遺伝子や造腫瘍能の維持に関わる遺伝子の同定とその機能解析を行った。3株の増殖に共通して必須な遺伝子の発現を抑制したところ、造腫瘍能の低下が認められると共に、分化マーカー遺伝子の上昇が確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍検体のscRNR-seqの解析を進め、腫瘍組織と2種類の線維芽細胞との相互作用を検出した。主にサイトカインを介した相互作用と上皮間葉転換を誘導する因子による相互作用に大別されたため、これらの相互作用は異なる生理機能を有しているものと推定された。また、scRNA-seqによる解析に加えてゲノム高次構造を検出するscATAC-seq解析するための準備を行い、同一の凍結組織からscRNA-seqとscATAC-seqを行うための良好な条件を見出した。これまでにがん幹細胞の可能性のある細胞群を見出しており、scRNA-seqとscATAC-seqの統合的な解析により、組織を構築する分子基盤、特にがん幹細胞を頂点とする階層的な多様性構築の機構や細胞間相互作用のハブとなる遺伝子の同定やシグナル伝達経路等の解明等が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
・がん検体を対象としたscRNA-seq解析 本年度に見出した細胞間相互作用の検証とその生理的機能を解明する。細胞間相互作用のマーカー遺伝子産物に対する抗体を用いた免疫組織染色によって、腫瘍内の局在を解析する。また、腫瘍検体よりFACSによって線維芽細胞をソートし、腫瘍細胞の造腫瘍能や運動能などに与える影響を解析する。また、scATAC-seqを行い、scRNA-seqとの統合的な解析を行うことで、細胞間相互作用の分子基盤やがん幹細胞による組織構築の分子基盤の解明を目指す。 ・膠芽腫幹細胞の階層的分化のscRNA-seq解析 膠芽腫幹細胞は血清分化によって造腫瘍能が消失することが明らかとなっている。本年度に同定した3株の増殖に共通して必須な遺伝子は、その発現抑制を抑制すると分化が誘導され造腫瘍が低下する可能性が明らかになったので、その分子機構の解明を進める。 また、前年度までと同様にscNRA-seq、scATAC-seqに関係する解析ツールを精査して解析パイプラインを改良する。特に、scNRA-seq、scATAC-seqの統合的な解析のための手法を検討する。
|
Research Products
(7 results)